日々のなごはく。

名護博物館ブログ

秋の嘉津宇岳 〜アカハラダカ渡り近況など〜

こんにちは。10月に入り、沖縄でも秋の気配を感じるようになってきましたね。

嘉津宇岳(2014.9.29撮影)
先月末で企画展、「生物の移動展 〜海山こえろ!生きものたちの大冒険」が無事終わりました。約1月半の開催期間中に3,424名の方に足を運んで頂きました。協力して下さった方々、来場して頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

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さて、企画展開催中に、北から沖縄を通って南へ渡っていくアカハラダカの渡りカウント調査が始まりました。名護博物館と名護博物館友の会を中心としたメンバー数名が毎朝、7〜9時頃に名護岳と嘉津宇岳の上空を渡っていくタカのカウントをしています。

アカハラダカの過去の記事については、こちら
● 名護岳での観察状況は、こちら ← 美しいタカの写真を見たい方必見!

イムリーな生物の「移動」ということで、先週末は企画展イベントの一つとして、嘉津宇岳でアカハラダカ渡り観察会を開催しました。
毎年この時期に行っていますが、今年は企画展のイベントとして広く周知し、新聞にもH学芸員の記事が載ったためか、2日で70名と多くの方の参加がありました。

森から舞い上がったアカハラダカを目で追う参加者のみなさん。

80羽ほどの群れに熱中するみなさん。
今年は、例年に比べてかなりタカの数は少ないのですが・・・
それでも、喜んでもらえたようで良かったです。

残念ながら、観察会ではタカの写真は撮れなかったので、代わりにここ数日で撮影した写真を(写りは微妙です)!

こんな感じで、渡っていきます。

今年は、なかなか近くで群れが見えなく、双眼鏡でもこの程度の大きさにしか見えません・・・

動画もありますが、このサイズではゴミのようにしか見えないかも!


タカが旋回している様子が・・・わかるでしょうか?

今年(2014年)の嘉津宇岳(9/13〜10/1 7〜9時)でのアカハラダカの渡りカウント数(羽)と、観察中の代表的な天候、風向を比べてみました。
(※暫定的な集計結果なので、今後数値が変動することもあります)

毎年見ている人は経験的に知っているかと思いますが、天気の良い北よりの風が吹いている日に渡りが行われている傾向が明らかです。

ここ数日でピークを迎えていますが、最多数は一日300羽程度に留まっています。
去年は、同じ時期に一日で2000〜3000羽程度見れているので、かなり少ない数ですね。
明日からの調査に期待したいですが・・・台風が来ていますねぇ

例年だと、そろそろアカハラダカに替わってサシバが渡り始める時期になります。
アカハラダカを見たい方は、今週〜来週をめどに、ぜひお近くの山へ行かれてみてはいかがでしょうか。
今年の傾向からすると8時半〜9時頃が群れを見やすい時間帯のように思います。
山まで行かなくても、空を見上げれば、運が良ければ群れが見えるかもしれません(名護市街地上空でよく群れが旋回しています)。
なお、天気が悪いとアカハラダカは飛びません(サシバはある程度天気が悪くても渡っていきます)。

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タカが見れなくても、秋の山は気持ちいいものです。
私は嘉津宇岳担当ですが、毎朝、季節が移り変わっていくのを肌で感じています。
ここ最近、早朝はすっかり肌寒くなりましたね。
タカ以外の生きものたちの様子にも変化が見られるように思います。


たとえば、ウスバキトンボ。
渡り調査を始めた頃は、毎朝50〜100個体ほどが群れていたのですが、ここ数日ですっかり姿を見かけなくなりました。


代わりというわけではないですが、1週間ほど前からオオシマゼミの大合唱が聞こえ始めるようになりました。
ケーンケーンというこのセミの声が山中に鳴り響いているのを聞くと、あ〜秋だなぁと思います。


このオオシマゼミには、よく見ると、赤いダニが付いていました。
川でアメンボにも赤いダニが付いているのをよく見かけますが・・・
セミもアメンボも同じカメムシ目、ダニに好かれるんでしょうか。


山頂への登山道入り口付近では、チョウもたくさん見られます。
写真は、アオスジアゲハ。
その他に今年見かけたチョウは、シロオビアゲハ、ジャコウアゲハナガサキアゲハオオゴマダラツマムラサキマダラツマベニチョウ、イシガケチョウ・・・などなど。


登山道に少し入ると、沖縄県天然記念物のコノハチョウも比較的簡単に見ることができます。
周辺に、このチョウの食草であるセイタカスズムシソウがたくさん生えているからでしょう。
ちなみにコノハチョウは「名護市のチョウ」です。

今年はまだ見ていませんが、もうそろそろ、今回の企画展でも取り上げたアサギマダラが北から海を越えて沖縄へやってくる時期になります。

アサギマダラ(去年嘉津宇岳で撮影した写真)

この写真の個体はマーキングされていますね。これからの季節は、チョウのマーキング、または再捕獲のために県外から嘉津宇岳にやってくる人も増えます。

メインの目的は、タカの観察ですが、このチョウに会えるのも密かに楽しみにしています(笑)

(NM)