日々のなごはく。

名護博物館ブログ

続・秋の嘉津宇岳 〜タカの渡り近況など〜

9/13(土)から続いている毎朝のタカの渡り調査ですが、そろそろ今年のタカたちの渡りも終わりに近づいたように感じます。

嘉津宇岳山頂とサシバ(2014.10.21)
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前回の記事はこちら

前回紹介した後にやってきた台風18号、19号の影響で、その後のアカハラダカのカウント数はほとんど伸びませんでした。
先週は数羽のアカハラダカが山の中にいるのを確認しましたが、今週に入ってからは1羽も見かけていません。
群れで渡りそこねた個体は1羽でも果敢に渡っていくのか、それとも冬を越せずに死んでしまうのか・・・
その後が気になります。

そんなわけで、嘉津宇岳で確認できた今年(2014年)のアカハラダカ渡りカウント数は、計1,259羽になりました。
(暫定的な結果で今後のデータの扱いによっては数値が若干変わるかもしれません)

去年と比べると1/5以下、これまで(2008年〜)の中で最低の値です。
名護岳でも同様の減少傾向が見られているとのことですが、この変化は一体何を意味するのか・・・来年以降の調査結果も注視して解釈する必要があるでしょう。

ちなみに、渡りの大陸側からのルートと琉球列島を通過するルートが合流する台湾の墾丁の調査でも、今年の渡りのカウント数は去年の半分以下に激減しているようです。
下記の台湾猛禽研究会のwebページで調査結果が公開されています。
http://raptor.org.tw/introduce-major-transit-observation-point-2/kenting.html
中国語ですが、読めなくても漢字なので何となくわかると思います。アカハラダカは赤腹鷹と表記されています(そのままですね)。
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さて、アカハラダカに替わって、サシバの渡りが続いていますが、嘉津宇岳ではあまり多くの群れが渡っていくところは観察できていません。
10/21(火)現在で524羽の渡りを確認しましたが、それも終息しつつあるように感じます。
ちなみに、名護岳では、累計で約3,000羽のサシバの渡りが確認できているとのことです。


昨日は、嘉津宇岳の山頂まで登って観察しましたが、空振りに終わりました(汗)
群れが見えるときは、多野岳方面から名護岳、辺野古岳・・・と、北東から南西にむかって通過していくパターンが多いです。


嘉津宇岳のサシバ(2014.10.21)
左足に何か小動物をつかんでいて、飛びながら食べていました。

北から渡ってきたサシバの一部は、沖縄で冬を越し「落ち鷹(ウティダカ)」とも呼ばれますが、嘉津宇岳で見られる大部分のサシバはすでにその状態に入っているように見えます。

渡りの調査も残りわずか、もうひと踏ん張りですかね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 おまけ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


今日は、ジョウビタキも見かけました。
冬に大陸から渡ってくる小鳥ですね。


前回の記事で少しだけ触れた、北から海を越えて沖縄へ渡ってくることが知られているアサギマダラ。
嘉津宇岳では、10/15(水)から姿を見かけるようになり、その頻度も日々増えてきています。



力強い羽ばたき。せわしなく飛んでいる個体も見かけます。


センダングサ属の花蜜を吸うアサギマダラ


写真に撮ってよく見てみると、長旅の傷なのか、翅が欠けているものも。


まだ、マーキングされている個体は見かけていません。
したがって、どこから来たのかはわかりません(もしかして嘉津宇岳の生まれだったりして・・・)。
今後に期待です。

(NM)