第5回「伝統と新たな交流」
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東江区の豊年祭は、旧の8月13、15、16日の3日間。
旧盆のエイサーを終えた頃から、踊りを配役された区民が公民館に集まり、先輩の指導の下、本番に向けて練習が行われます。
踊り手の他に、地方(ジカター:音曲を担当する人)や、化粧や着付けを手伝う人、まかないを用意する人、会場設備をする人など、区民が協力し合って作り上げる、集落をあげた一大イベントです。
東江区豊年祭の演目の一つ、「猿舞」。
舞台前が埋め尽くされるほどの人気ぶり。
釘づけになっているのは子どもだけじゃない!毎年見ている大人も夢中。
貫花(ヌチバナ)を用いて踊られる「白瀬走川(シラシハイカー)」。
白瀬走川節の歌:「白瀬走川に 渡りゆるさくら すくて思里に 貫ちゃいはきら」
歌の意味は・・・「白瀬川に流れる花をすくいとって、糸に貫き花輪にして、愛しい人にかけてあげたい。」
という、乙女の熱い恋心を歌にしたもので、東江の豊年祭でも古くから継承されています。
東江区以外にも、名護市の多くの集落で村踊りが残っていますが、内容はそれぞれ異なり、その豊かな地域性は非常に興味深いものがあります。
地域に伝わる芸能については、名護市教育委員会文化課を中心に、長年に渡って、記録・調査を行われてきました。
その成果が一冊の本になっています。
(名護市史編さん係HPはこちらから)
各区の調査員による細かい調査に基づき、執筆されているので、詳細な情報満載!すごいボリュームです。
「私の区の村踊りは?ほかの区はどうだろう?」
なんて気になった方!
博物館の刊行物コーナーにも見本を置いていますので、ぜひチェックしてみてください。
また、新聞記事で予告していました、東江区と久米島町の芸能交流会が、2014年11月22日に行われました。
その日は久米島町のメンバーが東江区を訪れ、お互いの村踊りを披露しあいました。
東江区からは「かぎやで風」、「白瀬走川」、「しゅんどう」、「猿舞」の4演目。
「しゅんどう」の様子。
醜い女役の滑稽な動きに会場がわきます。
久米島町からは「木綿花節(具志川区)」、「体操浜千鳥(仲泊区)」、「豊年口説(山里区)」の演舞がありました。
「体操浜千鳥」の様子。
本来のしなやかな女踊りとは程遠い、真剣な表情(しかめっ面)の男性が力強くこぶしを振り上げ踊る様には、涙を流して笑う人続出。大いに盛り上がりました。
「これは似ていたな!」「だけどこれは全然違うさ!」
今まで当たり前すぎて見えていなかったことが、今回の交流を通してたくさん見つかったようで、その議論を交わす充実した表情が印象的でした。
地域の特異性に気づいたことで、自分たちの芸能に対する自信アップ!モチベーションアップ!です。
可能であれば、色々な集落の村踊りを見学したり、本や資料で調べてみると面白い発見があるかも!?しれません。
「外を見ると中のことがより見えてくる」のは、どんな境遇でも共通していますね!
(ひ)
【関連する過去の記事】
■豊年祭
各地の豊年祭!
■久米島
久米島に行ってきました!その1
久米島に行ってきました!その2