今年も、羽地ダム鯉のぼり祭りのイベントの一つである川の生物観察会のガイドに行ってきました。
一日2回の2日間で合計約160名の参加がありました。
例年どおり、まずは川の説明、生きものの探し方等のレクチャーから入ります。
流れのあるところでの採集。
ヨシノボリのなかまやヒラテテナガエビ、モクズガニなどがくらしている環境です。
水際の草陰での採集。
ヌマエビ類やトンボの幼生などがくらしている環境です。
土砂が積もって中州のように浅くなっている場所では、リュウキュウカジカガエルの幼生がたくさんいました。
今年は、いつも主力となってくれるヨシノボリ類やエビ・カニ類が少なかったので、参加者の皆さんも苦戦!
でも、その分、魚が網に入っていた時の感動も大きいようでした。
おしりの突起が特徴。
開けた場所に多いアメンボで、今年もたくさん見られました。
水際に草のあるところで取れました。
クルクル回る泳ぎ方が面白いです。
アカナガイトトンボの幼生(ヤゴ)
同じく水際の草陰で取れました。
このトンボは、流れのある場所でよく見つかります。
流れのほとんどない場所には、そういう環境を好むギンヤンマなどがいました。
今年は数が少なく、2日間で5匹ほどしか見つかりませんでした。
写真は卵を持ったメスを見せているところ。
川で見られるカニの代表格ですが、こちらも数が少なく、また甲幅15mmほどの小型のカニばかり・・・
ゴクラクハゼ(下)、クロヨシノボリ(上)
クロヨシノボリはこの場所で一番数の多い魚です(外来魚をのぞいて)。
例年は、海から上ってきて間もないと思われる全長3cm以下の個体がウジャウジャいるのですが、今年はほとんど見られず、4cmほどの個体が多く取れました。
写真はオス。ほほの青い点がチャームポイント。
クロヨシノボリに次いで多かったです。
警戒心の強い魚で、初心者が手網で捕まえるのはなかなか難しいです。
お手伝いにきてくれたAさんが投網で捕ってくれました。
ボウズハゼの腹びれは吸盤のようになっていて、手にのせるとピタッと吸いついてくるのが実感できます。
手を傾けても落ちません。
このようにして川底の岩などにもくっついて、流れに逆らいながら上流へ上っていくのです。
全長10cmほどの幼魚が数匹取れました。
やんばるの清流では、深みのある淵(ふち)に大きな成魚が潜んでいることがありますが、残念ながらこの場所は全体的に浅いので、大きく成長するのはむずかしそうです。
今年の観察会で一番の発見!
1個体だけ採集されました。
ちなみに、ウナギとありますが、ウナギとは全く違うグループの魚です。
かつては水田地帯にウジャウジャいたと言われていますが、現在では環境等の変化によって絶滅が心配されている魚です。
ほかにも色々見られましたが、ほぼ例年どおり20種ほどの生きものが観察できました。
しかし、このうち1/5は外来種で、その数も相変わらず多いのが気になるところです。
ティラピアのなかま
今年も投網でたくさん取れました。
もとは食用のために移入されたアフリカ原産の魚ですが、現在は流通もしていないし、食べる人もほとんどいません。
白身でとてもおいしい魚なので、外来種を取り除くこともかねて、捕まえて食べればいいと思うのですが・・・
今回捕れたティラピアも何尾か持ち帰って調理してみましたが、普通においしかったです。
ただ、汚い場所にいるティラピアはやめておいた方が良いですね・・・
グッピー(メス)
よくメダカと間違われますが、ひれの形などが違います。
1970年代に野外で増えはじめたようで、今ではいない川を探すのがむずかしいくらいです・・・
グッピー(右側)
模様がきれいなのはオスです。
ちなみに左のエビは、在来種のミゾレヌマエビです。
川の中に見える巨大な黒い影・・・
直接見ていないので何とも言えませんが、コイのように見えます。
日本ではなじみの深いコイも、沖縄ではれっきとした外来種です。
悪食でも知られ、野外の川に放されると水を汚し、生態系も破壊されてしまいます。
コイは、鯉のぼりを見て楽しむだけにしましょう。
外来種が多いといっても、沖縄本島中南部の川に比べればまだまだ健全とは言えるのですが・・・
これ以上は増えないでほしいところです。
さて、2日間にわたって行った川の観察会、
今回の観察会参加者は、ほとんどが中南部から遊びにきた方のようでした。
生きものの基本的な探し方はわかったと思うので、ぜひ他の川でもトライしてもらいたいですね!
(NM)
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