久々に名護市内の川の水中観察に行ってきました。
大分暑くなってきたので、川の水の冷たさが心地よかったです。
中流で見られたナンヨウボウズハゼ(オス)
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まずはじめに、潮の影響のある感潮域(かんちょういき)と淡水域の境目あたりから川へ入り、観察しながら上流へ!
いろんな生きものが見られたので、ちょっとだけ紹介します。
ツノメチゴガニ
干潟で見られる小さなカニ。角のような眼の突起がカワイイ。
感潮域にたくさんいるヤドカリです。
この個体は、淡水域にいる巻貝イボアヤカワニナの殻に入っていますね。
人が食べた後に川に捨てられたマガキガイ(沖縄名ティラジャー)やチョウセンサザエなどの殻にもよく入っています。
感潮域〜淡水域で見られますが、下流のものほど殻の棘が長い傾向があります。
うっかり手をついたりすると棘がささってイタイ(笑)
淡水域の下流で見られました。
大きさは2cmほどで、海から上ってきて間もないと思われます。
このブログでも何度か紹介しましたが、沖縄の川で見られる魚やエビ・カニ、貝のほとんどが、一生のどこかで川と海を行ったり来たりします。
写真の若者たちは、成長しながら上流へ向かう途中かもしれないし、
一部はこのまま留まって、この場所で大きくなるかもしれませんね。
ちなみにヨシノボリのなかまは何種かいますが・・・
どの種なのか、もう少し大きくなってくれないと・・・私にはわからないですね(汗)
同じ場所にいました。こちらも幼いです。
若いナンヨウボウズハゼ(右下)の群れ
ミナミハゼやヨシノボリも混じっています。
若者同士で和気あいあい(に見える)。
ナンヨウボウズハゼ(オス)
こちらは婚姻色の出た立派なオス成魚。
冒頭で紹介した写真と同じ個体。メタリックな青色がきれいです。
鰭(ひれ)を立てて、近づいてきた他のナンヨウボウズハゼ(奥)を威嚇!
広げた傘のように平べったい貝です。
まわりにたくさん付いている丸いのは、卵嚢(らんのう)で、中にさらにたくさんの卵が入っているそうです。
成貝の殻に稚貝がくっついていますが、淡水域の下流では、本種の稚貝がこのように他の貝に乗っかっているのをよく見かけます。
こっちは、下の貝が何なのか見えないほど、フネアマガイの稚貝に乗られています。
近年の研究で、上流への移動手段として、稚貝の頃に"ヒッチハイク"する(他の貝の上に乗る)淡水性貝類(アラハダカノコ)の驚くべき生態が明らかにされたようですが*1、上の写真もそんな場面を彷彿とさせます。
フネアマガイの場合は、ただ何となく乗っているだけかもしれませんが(笑)
ヒッチハイクする貝については東京大学海洋アライアンスのページで詳しく解説されています。
川の中で「シュリシュリ・・・シュリシュリ・・・」と謎の音が聴こえることがありますが、私の経験上、その主は大体このコチビミズムシのなかまです。
この昆虫を採集して、虫かごなどに入れておくと、発音しているところを確認することができます。
水際で群れていることが多く、数百以上の単位で見られることもあります。
ただ、大きさはわずか数mm!なので、目を凝らさないと見えません。
図鑑によると、奄美諸島の固有種にアマミコチビミズムシという種がいるらしく、沖縄島には、それによくにた未記載種(つまり新種)がいると紹介されています*2。
それが上の写真の種だというのは、間違いないと思うのですが・・・
川でよく見かける種にも関わらず、その後名前がついたという話を聞きません。
もし知っている方がいたら、ぜひ教えてください!
上流の水際で撮影。
色や模様に個体差があって、手前のエビはきれいな青色でした。
若いヨロイボウズハゼ
流れの速い早瀬に生息しています。
吸盤のような腹びれで、頭からおなかあたりまでは岩にピタッと張り付いています。
写真ではわかりにくいですが、尾びれは水流の勢いで左右になびいています(そのためぶれています)。
今回この川でまとまった数が見られましたが、ここ数年では初めての印象です。
沖縄県レッドデータブック(2005年版)で絶滅危惧IA類(一番上のランク)に指定されています。
アカボウズハゼ(オス)
上流の木々に囲まれた暗い場所にいました。
これでも十分きれいですが、婚姻色が強くなると黒と赤のコントラストがはっきりして、さらにきれいになります。
この川で、婚姻色の出たオスを見たのは初めてです。
沖縄県レッドデータブック(2005年版)で絶滅危惧IA類(一番上のランク)に指定されています・・・
・・・が、近年、上のヨロイボウズハゼとともに、沖縄本島で見かける機会が増えているようですので、今度の見直しでランクが下がるかもしれないですね。
さて、他にもいろいろと紹介したいところですが、今回はこれくらいで・・・!
皆さんが見たことのある生きものもいたでしょうか?
今回紹介した写真を撮った場所は、すべて川沿いの民家から見える場所でした。
人通りもふつうにある場所なので、黒いスーツをきた怪しい人物がうろついているところを見た方もいるかもしれないですね(笑)
乱獲の恐れのある貴重種もいるので公開はしませんが、自然が豊かな名護市では、身近な川でも様々な生きものが見られるということです。何という幸運!
これから、川遊びが楽しい季節ですが、水遊びだけでなく、ぜひ水中ものぞいてみてください。
きっと、色々な生きものが見つかると思いますよ!
(NM)