日々のなごはく。

名護博物館ブログ

リュウキュウアカガエルの子、上陸!

今週の頭に、2月から観察してきた市内の川(記事はこちらこちら)で、リュウキュウアカガエル Rana ulma環境省沖縄県レッドデータブック絶滅危惧種) が変態、上陸しているところを確認しました!


変態を終えたリュウキュウアカガエルの幼体
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とは言っても、予想ほど多くの上陸個体は見られませんでした。
水たまりの中には、まだ後肢だけの幼生(オタマジャクシ)や後肢も生えていない幼生がたくさんいました。


いろいろな発育段階の幼生たち


後肢の生えたリュウキュウアカガエル幼生

手前の方が、よりカエルらしくなっていますね。


前肢も生えてきたリュウキュウアカガエル幼生 その1

前肢が生えてきたら、変態は一気に進むようです。


前肢も生えてきたリュウキュウアカガエル幼生 その2

尾が長いことをのぞけば、もうカエルっぽい形をしています。
いよいよ上陸!という雰囲気を出しています。



上陸したリュウキュウアカガエル

まだ尾が少し残っている変態途中の個体。


水際に垂れ下がった葉っぱの上でじっとしていました。
今まさに上陸したところでしょうか?
ちなみに、下に一緒に写っているのは、コセアカアメンボ。


上陸した変態個体の場所がわかるでしょうか?
一緒に写っているのは、リュウキュウアカガエルの幼生のほか、コセアカアメンボ、リュウキュウハグロトンボ幼生など。

別の場所では、水際の落ち葉の上に変態を終えた小さなカエル(体長1cmほど)がいました。



変態を終えたリュウキュウアカガエルの幼体(仔ガエル)

ただ、一生懸命探したのですが、変態を終えた仔ガエルはこの一匹だけ・・・
まだ時期が早いのか・・・それとも、変態を終えた幼体はすぐに別の場所へ移動してしまうのか・・・

今シーズン中に、もう一度くらい様子を見に行きたいところです。
とにかく、無事に繁殖が成功しているようで一安心しました。

でも、これからこの子達が成長して大きくなるまでには、まだ色々な苦難が待ち受けているんでしょうね。
こちらの記事で紹介した通り、名護市におけるリュウキュウアカガエルの生息状況は、決して安心できるものではありません
上陸したカエルたちが元気に育って、今後もこの場所で命のリレーを繋いでいってくれることを願うばかりです。

ところで、今月に入ってからは、この沢でオキナワアオガエルも繁殖のピークをむかえているようで、あちこちで鳴いています。
リュウキュウカジカガエルの姿も見かけるようになってきました。
どちらかわからないのですが、リュウキュウアカガエルに混じってふ化したばかりと思われる幼生の姿も見られるようになってきました。

この2種の変態が終わったばかりの幼体ってどんな姿だっけ?と思い、以前撮った写真と比べてみました。



オキナワアオガエルの変態後の幼体

同じ沢で6月に確認した幼体です。
体長は2cmほどでやや大きいです。




リュウキュウカジカガエルの変態後の幼体

平地にもたくさんいる最も身近なカエルの一種、リュウキュウカジカガエル
上の赤い個体は名護岳、下は名護博物館裏のプールで撮影したものです。
体長は1cmくらい。

この2種は吸盤がよく発達していて、リュウキュウカジカガエルは、博物館裏のプールでは上陸のときに垂直の壁を上っていました。

比較してみると、リュウキュウアカガエルの幼体とはずいぶん違いますね。改めて実感しました。



さて、現在博物館で飼育中のリュウキュウアカガエルも、ここ数日で変態中の幼生が見られるようになり、今日の朝、ケース内に作った陸地に上陸している個体を見つけました。


上陸したリュウキュウアカガエル(博物館飼育)

まだ尾は残っているようなので、いつなくなるのか見守りたいと思います。
こちらも無事に育ってほしいところです。

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【オマケ】その他に見られた生きもの


イボイモリの卵

前回たくさん見られたイボイモリですが、今回は親の姿はほとんどない代わりに、産卵して間もない卵がありました。
卵割が進んでいる様子がきれいに見えます。


アラモトサワガニ?の幼ガニ

脱皮したての体の柔らかい小さなサワガニがいました。
この場所では、サワガニ類はアラモトサワガニのみ確認されているので、たぶん本種だと思います。

今回観察した沢は源流付近で水の流れがあまりない場所なので、魚や大きなエビ・カニなどは見られません。
その分、自然と水生昆虫に目が行きます。


ヤマトクロスジヘビトンボの幼生

いつ見ても変わった形をしています。


タニガワカゲロウのなかまの幼虫

こちらも、SF映画に出てきそうな形ですね。


コカクツツトビケラのなかまの幼虫

渓流の落ち葉(リター)が堆積しているような場所には、必ずといっていいほど見かけます。
トビケラの幼虫は、「水中ミノムシ」と呼ばれることもありますが、カクツツトビケラのなかまは細かくした落ち葉を使って持ち運び式の巣を作ります。


タツメカワゲラのなかまの幼生

こちらも、リターの多い場所でよく見かけます。


その他、陸上で印象的だったのが、


ホルストアマビコヤスデ

名護の山でも特にめずらしくはないのですが、そういえばあんまり写真に撮ってないなぁ・・・と思いパシャリ。
沖縄本島内でも場所によって色彩が違うそうです。


オキナワナガイボグモ

帰り際に何気なく目をやったフカノキの幹にいました。
クモの専門家の先生によると、名護ではめずらしいようです。


別のクモ?を食べている個体もいました。
このクモは同じ場所に定位する習性があるそうです。


木々のすき間からのぞく星空。
久しぶりに星を見た気がしました。

(NM)