日々のなごはく。

名護博物館ブログ

名護のリュウキュウアカガエルのその後など

去年の12月にリュウキュウアカガエルの産卵を確認した名護市内の川へ、その後の様子を見に行ってきました。
こちらの記事の続きになります。

幼生(オタマジャクシ)から変態して上陸したばかりの、ちびっこガエルを見つけることができました!


リュウキュウアカガエル Rana ulma の上陸個体(2018年4月14日 名護市内)
リュウキュウアカガエルは、沖縄島北部(やんばる)と久米島のみに生息するカエルで、やんばるでは、名護市より南には分布していません。
詳しくはこちらの記事で紹介していますが、名護市でも姿を消してしまわないか心配なカエルの一種です。


上の写真と同じ個体ですが、尾はすっかりなくなり、立派なカエルの姿をしていました。
・・・体長は1cmほどしかありませんが。

12月にウジャウジャいたリュウキュウアカガエルの幼生はあまり見かけなくなったので、多くは上陸したものと思われます。
ただ、上陸個体は上の写真の1個体しか見つけられませんでした。


水中に残っていたリュウキュウアカガエルの幼生(2018年4月14日 名護市内)

上の写真の幼生も肢(あし)が生え、じきに上陸しそうですね。

ちなみに、成体は全く姿を見かけませんでした。
繁殖期に産卵場所へ集まってくるリュウキュウアカガエルですが、それ以外の時期に成体を見つけるのは名護市ではムズカシそうです。
市内の生息個体数は、名護市より北のやんばる3村に比べると非常に少ないと思われます。

代わりに12月には見られなかったリュウキュウカジカガエルの姿が目立ちました。


リュウキュウカジカガエル Buergeria japonica のオス(2018年4月14日 名護市内)


正面から。器用に葉っぱの上に乗っていますね。

なお、リュウキュウカジカガエルは市街地のある低地でも普通に見ることができます。
名護博物館の中庭などにもたくさんいます(こちらで紹介)。

さて、リュウキュウアカガエルについては、残った幼生もじきに上陸しそうな感じだったので、近いうちにまた様子を見に行きたいところです。
上陸したちびっこたちが、無事に成長するといいですね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 おまけ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


イボイモリ Echinotriton andersoni (2018年4月14日 名護市内)

カエルのほかには、沖縄県の天然記念物イボイモリもウロウロしていました。
現在名護市内では産卵期のピークを迎えていますが、それはまた別の記事で紹介します。


オキナワスズムシソウ Strobilanthes tashiroi の花(2018年4月14日 名護市内)

沢筋で一輪だけ咲いているのを見かけましたが、開花の時期はもう終わっているかと思います。
市内の他の場所では、今年は3月のはじめ頃に咲いていた記憶があります。

この日の夜は暖かく湿度も高かったので、川へ行く途中の林道脇では、ハロウェルアマガエルが大合唱していました。



ハロウェルアマガエル Hyla hallowellii (2018年4月14日 名護市内)

「ギー、ギー」と特徴的な声で鳴きます。
草陰や比較的高い樹の上で鳴いていることが多いので、なかなか目にする機会はないかもしれません。



鳴いているハロウェルアマガエル(2018年4月14日 名護市内)

体全体を風船のようにふくらませて鳴いていました。命かけている感じ!


帰りの林道では、めずらしくアカマタも姿を見せました。


アカマタ Dinodon semicarinatum (2018年4月14日 名護市内)

名護より北のやんばる地域ではめずらしくもないアカマタですが、名護市内では出会う機会が少ないです。


同じアカマタ。顔はかわいいですが、気性は荒いです。
毒はありませんが。

(NM)