日々のなごはく。

名護博物館ブログ

台風の後のやんばる 川(水中)の景色

題名に景色と書いておきながら、出てくる写真は生きものだけです。
生きものを含めた景色ということで・・・

台風通過後からおよそ3日後、やんばる(名護市内)の川に足を運んでみました。


ルリボウズハゼのオス(2018年10月7日 名護市内)

流れの急な場所を好むハゼ。
市内ではわりと普通に見られますが、警戒心が強くなかなか近づいて写真を撮らせてはくれません。
婚姻色(こんいんしょく)の出たオスの体の瑠璃(るり)色と尾びれの橙(だいだい)色がとてもきれいです。

ところで、台風の後の川というと、どのようなイメージがあるでしょうか。
増水で茶色く濁った水が流れているようなイメージがあるかもしれません。

確かに大雨で今まさに増水している最中の川は茶色く濁っています。
しかし、一日二日も経てば濁りは治まり、水量だけが多い状態がしばらく続くというケースもあります。

むしろ、増水で川底にたまっていた汚れなどが洗い流され、台風前より水が澄んでいることも多いのです。
今回観察した場所も、台風前は川底に緑藻などが繁茂し、水が淀んでいるような環境も見られましたが、きれいに洗い流されていました。
良い環境になったせいか、思いのほか色々な生きものを見ることができました。


ナンヨウボウズハゼのオス(2018年10月7日 名護市内)

この種の婚姻色(こんいんしょく)もとてもきれいです。


ナンヨウボウズハゼのメスなど(2018年10月7日 名護市内)

このブログで何度も紹介していますが、このなかまのメスはどの種もよく似ていて、縦線(魚の場合は頭を上にして向きを考えます)が入っています。
真ん中にいるのがナンヨウボウズハゼのメス、一番下はナンヨウボウズハゼのオス、上の大きいのはルリボウズハゼのメスです。


ツバサハゼの幼魚(2018年10月7日 名護市内)

急流を好む平たいハゼのなかま。
最近あまり川に足を運べていないこともあり、数年ぶりに姿を見ました。
今回観察した場所でも見られるとは知りませんでした。
沖縄本島ではめずらしい種で、絶滅危惧IA類に指定されています。

同じ個体。ツバサハゼは成長すると20 cmをこえる大きな魚ですが、この幼魚はわずか4 cmほどでした。
沖縄本島ではこのハゼが生息できるような環境が少なく、大きく成長するのはむずかしいと考えられています。


タネカワハゼのオス(2018年10月7日 名護市内)

流れのゆるやかな場所を好むおとなしいハゼ。
婚姻色(こんいんしょく)の出たオスの顔を見るとなんとなくタヌキを思い出します。


ツノナガヌマエビのメス(2018年10月7日 名護市内)

川岸の流れの緩やかな場所で木の根の上にのっかっていました。
よく見るとおなかに卵を抱いています。


コンジンテナガエビ(2018年10月7日 名護市内)

国内最大級のテナガエビのなかまで、写真の個体もなかなかのサイズでした。

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さて、台風後の状態のよい川の環境がいつまで続くのか・・・
今後も観察を続けていきたいところです。

(NM)