日々のなごはく。

名護博物館ブログ

名護市の川の風景 2018年秋・前編 〜台風通過のその後のその後〜

11月になり、肌寒くなったかと思ったら、ここ数日は暖かい日が続いています。
川の水もだんだん冷たくなってきましたが、まだ20℃は下回っていません。

ちょうど一ヶ月ほど前、台風の後の川の風景を紹介しましたが(こちら)、その後どうなったか気になって同じ川に足を運んでみました。
台風直後に比べるとずいぶん水量は減っていました。


ツバサハゼ Rhyacichthys aspro (2018年11月10日 名護市内)
前回ツバサハゼの幼魚が見られた場所で水中に頭を突っこむと、今回は同じ岩に2匹がはりついていました。


同じ個体かどうかわかりませんが、全長5 cmほどで一ヶ月前に比べると1 cmほど大きいです。
成長したのでしょうか。


横から見たところ。
ツバサハゼは横向きや逆さまで岩に張り付いていることが多いので、このような水平姿勢はなかなか見られません。
この写真もカメラの向きを変えて撮影しています。

ところで、ツバサハゼが好む急流には、大体ヨロイボウズハゼもセットで見られます。


ヨロイボウズハゼ Stiphodon atropurpureus (2018年11月10日 名護市内)

絶滅危惧II類沖縄県RDB)に指定されている本種ですが、1匹見かけると大体周辺に複数見られます。


アカボウズハゼ Sicyopus zosterophorum と思われる幼魚
(2018年11月10日 名護市内)

淵にはアカボウズハゼらしき魚もいましたが、幼魚が多く鮮やかなオスの成魚は見られませんでした。
この場所で成長することはできるのでしょうか。

これら3種は、いずれもレッドリストに掲載されている絶滅危惧種ですが、この川で生息できる環境はごく一部に限られているように思います。
特にツバサハゼは、川を上る力があまり強くないので、高い滝があるような川の上流ではまず見られません。
低地でこのような環境が残っている場所は、残念ながら沖縄本島では多くはないのです。

名護市の豊かな自然を構成している多くの要素のうちの一つと言えるでしょう。

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さて、ここまでは一ヶ月前とほぼ同じ観察結果だったのですが、その下流の開けた場所へ行ってみると・・・


緑藻で覆われた川底

前回タネカワハゼが泳いでいたあたりの川底は、一ヶ月前にはほとんど見られなかった緑藻で埋めつくされてしまいました・・・
台風による増水できれいに洗い流されたのも、つかの間でした。
水量が減り、この場所は開けて日当たりも良いので、あっというまに藻が繁茂してしまったのでしょう・・・

こうなると、水中観察する気にもなりません。
気をとり直して、別の川へ移動することにしました。

後編に続きます → こちら