日々のなごはく。

名護博物館ブログ

名護のリュウキュウアカガエルのシーズン、終了?

今年もやんばる(沖縄本島北部)の渓流性のカエルたちの産卵シーズンがやってきました。
毎年のようにつぶやいていますが、一年があっという間です。

12月17日に名護市の数少ないリュウキュウアカガエルの産卵場所に足を運んだところ・・・


リュウキュウアカガエルの卵(2018年12月17日 名護市)
すでに大規模な産卵は終わったようで、たくさんの卵が見つかりました。
卵の透明なゼリー状の部分に泥が付いているので少しわかりにくいです。


リュウキュウアカガエルのふ化前後の様子(2018年12月17日 名護市)

ちょうどふ化前後の幼生を見ることができました。
卵が透明でわかりづらいですが、体を少し曲げている幼生はまだ卵の中にとどまっています。
去年の同じ場所の観察結果では産卵後6日でふ化していたことから、産卵日は12月11日頃かもしれません。
ただ、ふ化までの日数は水温などに影響されるでしょうから、正確にはわかりません。


ふ化して間もないリュウキュウアカガエル幼生(2018年12月17日 名護市)

ふ化直後の幼生は、目立たないですがウーパールーパーのように顔の横にむき出しのエラ(外鰓)があります。
卵のぬけ殻にくっついている様子が見られました。
以前紹介したハナサキガエルを思い出します(こちらの記事)。


ふ化後しばらくたった幼生(2018年12月17日 名護市)

こちらは、ふ化後数週間は経過していると思われる幼生。
実は、11月24日にこの場所に足を運んだとき、すでに成長した幼生が見られたことから、11月上旬にはすでに産卵が始まっていたようです。
去年(こちらの記事)も11月には産卵が始まっていました。
名護より北の国頭村で私の知っている場所では大体12月に入ってから産卵が始まるのですが、名護市のこの場所は少しタイミングが早いようです。


ふ化後4日の幼生と11月生まれと思われる幼生(2018年12月21日 名護市)

4日後の12月21日に同じ場所に足を運んだところ、大小混じった幼生が見られました。
比べるとずいぶん大きさが違います。

21日の夜には、産卵のために留まるリュウキュウアカガエルの成体の姿も声も確認することはできませんでした。
去年は12月下旬にも産卵が見られたのですが・・・今年の名護の産卵シーズンは終わってしまったようです。

来年は11月から足を運びたいところですね。


・・・・・・・・・・ 【おまけ その他の生きもの】 ・・・・・・・・・・


リュウキュウアカガエル幼生をねらうヤマトクロスジヘビトンボの幼虫
(2018年12月21日 名護市)

アゴを開いて目の前を通る幼生を捕まえようとするものの・・・
しばらく見ていましたが、ことごとく失敗!
そうはうまくいかないようです。

沖縄市郷土博物館のTね学芸員に教えてもらったのですが、沖縄で見られるクロスジヘビトンボ属2種のうち、ヤマトクロスジヘビトンボとされていた種は、2016年にリュウキュウクロスジヘビトンボに改称されたそうです。


アラモトサワガニ(2018年12月21日 名護市)

甲幅が3cmほどの立派なアラモトサワガニが歩いていました。


イボイモリ(2018年12月21日 名護市)

12月21日は暖かかったためか、沢筋を歩き回るイボイモリの姿も見られました。


イボイモリ(2018年12月21日 名護市)

林道を歩き回る個体もいたので、視点をイボイモリモードに替えて、ひかないように徐行運転です。


オキナワスズムシソウ(2018年12月17日 名護市)

沢筋では、コノハチョウの食草でもあるオキナワスズムシソウが花を咲かせ始めていました。


オキナワウラジロガシ(2018年12月17日 名護市)

12月17日はめずらしく昼間に足を運んだので(いつも夜しか行かない)、立派なオキナワウラジロガシが生えていることに初めて気づきました。
ドングリが落ちていたので、生えていることは知っていましたが。
この場所には何度も来ているのですが、カエルや魚ばかり見ていましたからね(笑)
視点を変えないと見えないものがありますね。

横から見ると沢の急傾斜に生えているのがよくわかります。
ドングリは撮影するのを忘れてしまいました(笑)
去年の記事(こちら)でも紹介しています。

(NM)