日々のなごはく。

名護博物館ブログ

ツルヒヨドリの除去作業など

ブログの更新がなかなかできず、少し前のことになってしまったのですが、6〜7月に特定外来生物ツルヒヨドリに関する記事(こちら)がこのブログ内で一番アクセスされていました。

新聞でも何度か取り上げられ、名護市議会でも議題に挙がるなど、数年前に比べてツルヒヨドリに関する問題意識がだいぶ高まってきたと感じています。

しかし、まだまだ十分ではありません。
外来生物の被害拡大を食い止めるためには、新たな侵入を未然に防ぐか、初期の早い段階で対処することが大事です。

そのためには、多くの人が外来生物の存在と問題点について認識することが必要不可欠です。

 

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林を覆うツルヒヨドリ(名護市宇茂佐 2018年8月)

上の写真は、名護市宇茂佐の屋部川沿いから環境センターに向かって上る道路の脇にある林ですが、上の方までツルヒヨドリで覆われてしまっています。

この場所は周辺もふくめて、かなり広範囲にツルヒヨドリが侵入している場所になってしまいました。ここまで生い茂ってしまうと、除去するのはとても難しくなります。

少し前にこの道を通ったときに、道路脇だけ草が枯れているのが見えましたが、除草剤をまいたのでしょうか。

手作業で除去できるレベルではないのでそれも仕方がない気がしますが、周辺環境への悪影響がないか心配なところです。

ちなみに、この道路脇では沖縄県の天然記念物クロイワトカゲモドキを確認しています。

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道路脇で確認されたクロイワトカゲモドキ(名護市宇茂佐 2018年8月)

通ったことのある方はよくわかると思いますが、周辺には建物があり、日中は車がバンバン通るような場所です。しかし、そのような身近なところにも意外とクロイワトカゲモドキは生息しているようです。

ただ、夜行性なので一般的には目にするようなことはないでしょう。
しかし、確実にそこに生息しています。この写真も林に入らず、深夜に道路脇で撮影したものです。

なお、クロイワトカゲモドキは天然記念物に指定されているほか、種の保存法でも国内希少野生動植物種に指定されており、本種の生息を脅かすような行為(捕まえるのはもちろんダメ)は法に触れる可能性があります。

 

話が少しそれましたが、ツルヒヨドリの問題が一般的に広まりつつあるのは喜ばしいことなのですが、今度はその対処方法をどうするのかということについて、知恵を絞って考える必要性が出てきたように感じています。

私は、学芸員としての立場から、安易に除草剤をまくのは周辺環境にどのような影響があるのかわからないので、対処方法としてスタンダードになってほしくないなぁ・・・と考えています。

困ったことに、ツルヒヨドリは川沿いの湿った環境を好むようで、これまで市内で見つかった場所の多くは川や水路等が近くにありました。つまり、除草剤をまいた直後に雨が降ると川に流れこんでしまう可能性が高いということです。

しかし、一方では広範囲に広がってしまったツルヒヨドリを手作業で除去するには、時間的・人的コストを考えると現実的には難しく、除草剤に頼らざるをえない現状もあるように思います。

このように広範囲に生い茂ってしまった場所の除去方法の問題を考えると、ますます新たな場所での侵入を未然に食い止めることが大事なんだと感じます。

 

実は、2017年にこのブログでツルヒヨドリのことを紹介した後にも、名護市内から次々と新たな侵入場所が確認されています。その中には、まだ広範囲に拡がっておらず、早めに対処すれば手作業で十分除去が可能と思われる場所も含まれていました。

そこで、名護博物館友の会などの市民や関係者の皆さんの力も借りて、手作業でなんとかなりそうな場所の除去作業を今年に入ってから何度か行いました(あくまでボランティアです)。

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許田長浜原のため池付近の除去作業(2019年6月)

上の写真は、最近新しく見つけた許田長浜原ため池付近のツルヒヨドリ除去作業です。
ツルヒヨドリは、1ヶ月で10cmも伸びるほど成長が速く、根を残すとそこからすぐにまたツルを伸ばします。そのため、ツルが伸びている元を手で探り当て可能な限り根元から取り除くことが大事です。

環境省の方のアドバイスでは、樹上に絡みつくように伸びているツルは、根(地面)から切り離されると枯れてしまうそうです。ただし、絡みついた木が倒れるなどして地面に接してしまうと再びそこから根を張ってしまうので要注意です。

 

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世富慶川の侵入場所(2018年12月 名護市)

世富慶川の侵入場所では、川岸に置かれた根固めネットの上のみに集中して確認されました。

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世富慶川の確認場所(除去作業後)(2019年6月)

根がネットの奥深くに入りこんでいるため、表面のみしか除去できませんでした。

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有津川の確認場所(2019年6月)

東海岸の名護市と東村の境目近くにある自然度の高い有津川。その中流域でもツルヒヨドリが小規模に侵入していました。幸い早期発見だったので、まだ周辺には拡がっていません。川沿いに草まじりの土を盛ったような痕跡があったので、その中に本種が混じっていたものと予想されます。

前回の記事でも書いたのですが、外来生物法で特定外来生物に指定されているツルヒヨドリを持ち運ぶことは違法行為です。しかし、知らず知らずのうちに草などと一緒に持ち運ばれているケースが多いのではないかと予想されます。

上で挙げた世富慶川、有津川、許田長浜原のほか、なんと嘉津宇岳の山頂付近からもツルヒヨドリが見つかっています。沖縄県の天然記念物である嘉津宇岳の林が本種に覆われてしまうところを想像するとゾッとします。

 

なお、上で紹介したとおり、ツルヒヨドリを移動させるのは外来生物法に触れるという点を考えると、除去作業をして許可なくそこから動かすのもマズイということになります。

一方で、外来植物の防除には、行政だけでなく地域住民やボランティア等の活動が必要不可欠!という観点から、以下の条件を満たせば、法に触れずに防除活動ができるとされています。

 

・取り除いた植物は焼却施設等で焼却する
・運搬の際は、茎や種子等がもれないようビニール等で密閉する
・作業日、場所、実施主体を事前に告知すること
・やむをえず一時保管する場合は、逸脱しない措置と第三者が持ち出さないよう管理
・抜いた根茎は再生する可能性があるので残さないこと

詳しくは、やんばる野生生物保護センターウフギー自然館の資料(こちら)をご覧ください。

 

ツルヒヨドリの除去作業は一度で終わるものではありません。
必ず取り残しがあるため、最終的な根絶を目標に、根気よく繰り返し作業を続ける必要があります。

 

今後もできる範囲の除去作業や普及啓発活動を続けて行きたいと思います。

 

(NM)