日々のなごはく。

名護博物館ブログ

イボイモリ注意報!

本日、名護博物館友の会のOさんから名護岳(名護中央公園)の林道で沖縄県天然記念物であるイボイモリのロードキル(交通事故死)が多発しているという情報提供がありました。

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名護岳で確認されたイボイモリのロードキル個体(2020年4月21日)

※ 以下の内容にはややショックな写真(轢かれたイボイモリ)が含まれます

これまでにも、このブログでイボイモリのロードキルについて注意喚起をしてきたところですが、今回の事故例は平年と比べてもかなり多い印象です・・・

 

提供された情報によると、わずか700 mほどの間に10個体以上のロードキルが確認されたとのことです。

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車にひかれたイボイモリ(2020年4月21日 名護中央公園)※Oさん提供

私は、ちょうど2日前の夜に同じ場所でイボイモリの観察調査を行いましたが、ロードキルの個体は見つからなかったことから、昨日一日でこれだけロードキルが発生してしまったと思われます。

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2匹同時に車にひかれた状況(2020年4月21日 名護中央公園)※Oさん提供

上の写真は、ミミズをはさんで、大小2個体が同時にひかれたと思われる写真です。
昨日(4月20日)は降雨があり、路上に出てきたミミズを食べにイボイモリが歩き回っていた可能性があります。

イボイモリは3~4月が繁殖のピークであり、生息地では路上を歩き回っていることも多いです(特に夜間、5月くらいまで続きます)。

繁殖期以外に見かけることは少ないですが、繁殖シーズンには驚くほど多く路上で見かけることがあります。彼らの生活圏、産卵場所の近くに道路を作ったためです。

沖縄本島北部(やんばる)の林道などを走る際は、路上に注意しながら徐行して走ることが、小さな生命を救うことにつながります。特に、名護中央公園などをはじめとする森林公園などの中を通る道路は交通量も多いため要注意です。

コロナウイルスの影響で外出自粛が続き、3密条件を避けて野外へ出かける方も多くなっているようなので、このようなロードキルの事例が増えているかもしれません。

遊びに出かけた自然の中には、小さな生きものたちが住んでおります。そのことを認識し、少し意識するだけで、このようなロードキルは減ると思います。

ご協力よろしくお願いいたします。

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産卵中のイボイモリ(2020年3月 名護岳)

【2020/4/23】追記

本日の琉球新報(19面)で注意喚起の記事を掲載して頂きました。

↓ ↓ ↓ 琉球新報オンライン版 ↓ ↓ ↓ 

記事の中で「川の近くの道路などでは気を付けて運転してほしい」と紹介されておりましたが、補足すると、平地を流れている川の近くではなく、山や小高い丘の緑地内を走る道路(川の上流〜源流域が近くにある)でこのような事故のリスクが高まります。

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平地を流れている川(イボイモリの生息環境ではない)

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山の中を走っている道路(イボイモリの生息環境)

このような道路(林道など)はふつうに走っていても川や湿地の存在に気づかない可能性もあります。やんばるにおいて、林道や緑地の中、脇を通る道路を通行する際には、気をつけましょう。

(NM)