日々のなごはく。

名護博物館ブログ

巣 リュウキュウヒヨドリ

ある朝博物館の前に小さな鳥がおっこちていました。


リュウキュウヒヨドリのヒナです。

成鳥はこちら

リュウキュウヒヨドリ Hypsipetes amaurotis pryeri
ヒヨドリ科 方言名:ピューサー、スーサー

沖縄島で普通にみられるリュウキュウヒヨドリは、本土の亜種(ヒヨドリ)に比べ体色が全体的に濃く、赤褐色味が強いのが特徴です。

沖縄島も含め、日本国内では留鳥としてごく普通に見られる鳥ですが、生息域が日本とその周辺の限られた地域となっているため、世界的には珍しい鳥として知られているそうです。

どうやら博物館前のベンジャミンに営巣していたらしく、小さな鳥はそこから降りてきた(落ちてきた?)巣立ち雛でした。

まだうまく飛べない小さなヒナを見て、

 ケガしているかも、病院連れて行こうかな…
 かわいそう、拾って世話したほうがいいかな…

と色々考えますが、そんな時は少し離れたところから様子をみてください。

すると、たいていの場合親鳥が近くで見守っていて、

ときどきエサを与えにきます。

ヒナはまだ上手に飛ぶことはできませんが、少しずつ羽ばたきながら高いところへ移動していきます。

しかし、博物館の周りにはネコやカラスがうろうろ。
ヒナに危険が近づいたときは、親鳥が警戒して大声で鳴き、ヒナはじっと身をひそめます。

そして危険が去った後はまたご飯の時間。


まだかなー


きたー


ぱくっ


おいしすぎるぅぅーーー

こうしたことを繰り返し、上手に飛べるようになったところで、親から離れてひとりだちします。

多くの野鳥の繁殖期にあたる春から夏の間は、巣立ち雛の増える時期です。
小さくて弱々しく、とってもかわいいので思わず手を差し伸べたくなりますが、ほとんどの場合、近くで親鳥が見守り世話をしています。
この時期は親鳥から飛び方、エサの取り方、寝る場所など生きるための知恵を学ぶ大事な時期でもあります。

しかし、親鳥は人がいると警戒してヒナに近づくことができません。
かわいそう…と思って元気なヒナを拾ってしまうと、ひとりだちする前の大事な時期に親子を引き離してしまうおそれがあります。

もしも落ちているヒナを見つけたらすぐに拾ってしまわずに、離れたところから様子をみてください。

巣立ち雛への正しい対処法を広く伝え、野鳥の生態や自然の仕組みを知ってもらう、という目的で「ヒナを拾わないで!!キャンペーン」も実施されています。
ヒナに手を差し伸べる前に知ってほしい野鳥や自然についても紹介されています。
日本野鳥の会HP ヒナを拾わないで!!キャンペーン


ちなみにリュウキュウヒヨドリの巣はこんな感じ。

小枝やシダなどを集めてお椀形の巣を作ります。
庭木にもよく営巣するので、「ウチにもこんな巣あった!」という方も多いのでは!?
もしも近くで巣を見つけたら子育ての様子を観察できるかもしれませんね。
ただし、その時は親鳥が警戒しないよう遠くから見守ってください。



取材をさせてくれた親子に感謝。

(ひ)