博物館近くの幸地川で、地域の方々が定期的に清掃を行っていると聞いて、私も先週末に参加してきました。
川に下りてゴミを拾う若い人たち(名桜大の学生さんなどだそうです)。
ひんぷんガジュマル近くのあなだ橋脇には、自転車が3台も捨てられていました。
2〜3ヶ月ほど前に2台ほど引き揚げたばかりだというのに、一体誰が捨てるのでしょうか・・・
捨てるのはかなり大変だと思うのですが、その力を別の方向に活かしてほしいものです。
他にもいろいろなゴミが・・・
ガジュマル近くなどの文化・自然スポットをガイドする「まちなか案内」のツアーガイドが盛んになってきている中で、このようなゴミが捨てられる現状は悲しいですね。
あの辺りでは、カワセミもよく見られるし、橋から川を見下ろすと、ユゴイ(ミキユー)やゴマフエダイ(カースビ)、オキナワフグなど、本土ではなじみのない色々な生きものが観察できます。そんな中に粗大ゴミが落ちていたら、観光でこられた方もさぞがっかりするでしょう。
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さて、気を取り直して、午後からは市内の別の川に足を運んでみました。久しぶりに水中の様子を観察。
水温は25.5℃。この日は暑かったので心地よい冷たさでした。
タネカワハゼ。目の下の黒い線がチャームポイント。
砂を口に含んで、エサだけ食べるしぐさもかわいい魚です。
ほほにきれいな瑠璃色(るりいろ)の点が出ているアヤヨシノボリ
群れるナンヨウボウズハゼのメス。
写真には11匹写っているのですが、見つけきれるでしょうか?
右奥には、ルリボウズハゼも見えます。
そんな中に、目をみはるほど青く輝いているナンヨウボウズハゼのオス発見。
市内ではめずらしい魚ではないですが、いつ見てもきれいです。
若いボウズハゼ。横じまがはっきりしています。
流れの速い落ちこみで岩に張り付くヨロイボウズハゼのメス。
沖縄県のレッドデータブック(RDB)で、絶滅危惧IA類(一番絶滅に近いランク)に指定されています。
この川でも、限られた場所でしか見られないような気がします。
きれいな婚姻色(こんいんしょく)のオス(左)も見られました。
こちらもきれいな模様のツブテナガエビ。準絶滅危惧種(沖縄県RDB)。
ヨロイボウズハゼと同じように流れのあるところで見られます。
去年の企画展でも展示した(こちら)、新種ヒスイボウズハゼのオス。
今の時期は、オスは地味な色(婚姻色はついては、こちらの記事)をしています。
ヒスイボウズハゼのメスと思われる個体。
このなかまのメスは、みんな似たようなしま模様で見わけにくいです。
オス、メスともに何匹か見られました。
名護市の中でもごく限られた川でしか確認されていない種です。
この川の自然環境や地理的条件がよい証拠です。
さて、ここまでを見ると、なんて自然豊かな川なんだと思った方もいるかもしれません。
でも、別に山奥の川ではなく、市街地から車ですぐ行けてしまうような距離です。
川の脇には民家もあるようなところです。
残念なことに、貴重な生きものを守るために意識的に自然が保護されているわけではありません。
ただ、これまで残ってきただけなのです。
これから先、このような生きものがいることすら知られないまま、残された自然が失われていくかもしれません。
この川のさらに上流は、やはり民家が近くにあるのですが、外来種のグッピーがはびこっていて(おそらく捨てられたのでしょう)、良い状態とは言えません。川岸もコンクリートで固められて排水路のようでした。
でも、残された環境に「貴重種がいるんだ!」と声を大にして言えばいいかというと、そう簡単な話でもないのです。
この手の貴重な生きものは、観賞用の価値が高いため、インターネット上などで高値で取引されます。
生息場所がわかってしまうと、悪質な業者が根こそぎ持っていってしまうこともあります(実際過去に例があるそうです)。小さな川では、生きものも捕まえやすいので、ひとたまりもありません。
かといって、地域の人たちが地元の川に貴重な生きものがいるということを知らなければ、地域の誇りや感動、ましてや保護にはつながるはずもありません。
大変むずかしい課題です。
博物館の使命としてするべきことは何か、
自分の力でできることは一体何なのか、考えてしまいます。
(NM)