日々のなごはく。

名護博物館ブログ

川の観察に行ってきました。

台風が来る前の話ですが、小学校の野外学習のお手伝いで、市内の川へ行ってきました。
この学校は、川の学習のために、わざわざ本島南部から毎年バスでやってきます。
名護市の川が自然豊かである何よりの証拠ですね。

さて、学習の様子も紹介したいところですが、写真を撮っている余裕がなかったので、子どもたちが帰った後、静かになった川の中をのぞいて、生きものの写真を何枚か撮ってきました。


まずは、清流のシンボル、リュウキュウアユ Plecoglossus altivelis ryukyuensis
今年はいるかなぁ・・・と心配していましたが、それなりの数が見られました。
よかったよかった。

ナガノゴリ Tridentiger kuroiwae
全身真っ黒なこともありますが、模様が出ているときはそれなりにきれい。

ちなみに、石にくっついている黒いのは、イシマキガイ。小さい白いツブツブはイシマキガイの卵嚢(らんのう)で中に小さな卵がたくさん入っているそうです。


ヨロイボウズハゼ Lentipes armatus
早瀬にいました。絶滅危惧IA類(沖縄県RDBです。


アオバラヨシノボリ Rhinogobius sp.BB 
やんばるの固有種で、川の中流〜上流でくらしています。絶滅危惧IB類(沖縄県RDB
沖縄の川の生きものは、海と川を行ったり来たりする種がほとんどですが、このアオバラヨシノボリは一生を淡水中ですごす少数派です。
他の種が上ってこられないような上流へ行くと、この種ばかりいることもあります。


アオバラヨシノボリ(と思われる)のメス


ちょうど、今はアオバラヨシノボリの繁殖期で、稚魚が水中を浮遊するように泳いでいました。


アヤヨシノボリ Rhinogobius sp.MO
ほほに青い点があるのが特徴ですが、目立たない場合も多いです。
アオバラヨシノボリは、このアヤヨシノボリから進化したとされていて、2種はよくにています。
ただ、アヤヨシノボリは、川のより下流に分布していて、アオバラヨシノボリと同じ場所で見かけることは多くありません。
今回、同じ場所で見比べることができましたが、模様がはっきり出ていれば間違えることはなさそうですね。


アヤヨシノボリのメス。


ヌマエビ Paratya compressa
渓流の淵(ふち)で群れているのをよく見かけます。


ミナミテナガエビ Macrobrachium formosense
なかなか立派なサイズのオスでした。


Dフレームネットを使って、早瀬の石の下にかくれている生きものをつかまえてみたら、甲幅が3mmくらいの小さなサワガニが何匹かとれました。
アラモトサワガニ Geothelphusa aramotoi の成体もとれたので、多分アラモトサワガニの稚ガニでしょうね。
アラモトサワガニをはじめ、サワガニのなかまは、アオバラヨシノボリと同じで一生海へ出ることはありません。
中には、海どころか、水にもほとんど入らない変わり者もいます。

ちなみに、沖縄のサワガニは、ほとんどが島ごとに独自に進化して別種になっています。
アラモトサワガニは、沖縄島と伊平屋島に分布しており、絶滅危惧種沖縄県RDBです。


最後に、外来種グッピー Poecilia reticulata もいました(写真は♀)。
市内では、もはやいない川を探す方が難しいのですが・・・
そうはいっても、山の中の自然豊かな渓流にまで外来種がいるのを見つけると、げんなりしてしまいます。

(NM)