挑戦! 鳥の仮はく製
最近、鳥の「仮はく製」づくりにチャレンジしています。
以前の記事でも紹介しましたが(こちら)、ほ乳類や鳥類のはく製には、「本はく製」と「仮はく製」があり、どちらも博物館資料として重要な役割があります。
名護市東江で死んでいたアオバズク(2015年2月13日)
博物館によく来るNさんが持ってきてくれました。
今回は、この個体を仮はく製にしました。
【閲覧注意】この先は、鳥の内臓などの写真が少しだけあります!
また、死んだ動物をはく製などにすることに抵抗のある方もいらっしゃると思いますが、博物館の大事な仕事の一つですので紹介させて頂きます。
外傷はありませんでしたが、解剖すると左の翼の付け根に内出血がありました。
何かにぶつかった衝撃で出血したのでしょうか?
取り出した胴体に切れ目を入れて、おなか側から見ると、生殖腺が見えます。
まん中の左右にくっついている、細長い丸いもの(黄色っぽい)が精巣なので、このアオバズクはオスですね。
繁殖期ではないので、あまり発達していないようです。
取り出した胴体や肉の代わりに、脱脂綿などの詰め物を入れて元通りにぬいあわせてあります。
焼き鳥のくしみたいな棒が付いていますが、ここを持つことで観察しやすくなり、直接手でも触らないので、はく製が痛むのを抑えることができるそうです。
細かい工程は、写真を撮ってないので省きますが、完成まで、丸一日はかかっています。
その手順なども、機会があったら今後紹介したいところです。
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さて、地域の皆さんのおかげで、博物館には日々、様々な動物の死体が届けられます。
これらは、名護の自然を知るための大事な資料として保管していく必要があります。
以前紹介したように(こちら)、渡りの季節になると、届けられる鳥の死体が増えるなど、情報を蓄積することで見えてくることがあります。
そして、それらの証拠として標本を残すのは、博物館の大事な使命の一つです。
また、標本にし、展示会や出前授業などで使うことによる教育効果も、もちろんあります。
しかし、残念ながら、届けられた死体は冷凍庫にお蔵入りしてしまい、はく製にしたり、骨格標本にしたりする作業が追いついていないのが現状です・・・
私は、はく製づくりは全くの素人ですが、ここ数年で外部の先生からはく製づくりを教えていただく機会が何度かあり、最近になってようやく自分でも作り始めるようになりました。
とりあえず、本はく製は技術的・時間的に敷居が高いので、仮はく製を少しずつでも作っていけたらと思います。
(NM)
【関連記事】
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