あっという間に11月になり、アカハラダカとサシバの渡り調査も一区切りつきました。
10月の後半は、タカというよりは景色を見に現地に通っていたように思います。
嘉津宇岳では、10月26日以降、渡っていくサシバは確認できなくなりました。
上の写真のように鳴きながら森の上を飛び回っているサシバは毎日のように確認されています。低地の集落付近でも、鳴き声をよく聞くようになりましたね。
10月17日からは強い北風が吹き始め、24日頃まで荒れた天候の日が多く、コンディションが悪かったように思います。この間、嘉津宇岳では渡りの個体はほとんど見られませんでしたが、名護岳ではそれなりの数が渡っていったようです。
25日からは天候の良い日が続きましたが、嘉津宇岳では渡りのカウント数が伸びることもなく終息を迎えたように思います。
渡りのカウント数 集計結果(仮)
10月までの名護岳、嘉津宇岳のカウント結果を集計しました。仮集計なので、今後の解析等で少し値が変わるかもしれないことを断っておきます。なお、嘉津宇岳では10月末で調査を一端終了しましたが、名護岳山頂では引き続き調査が続けられています。
ただ、アカハラダカ・サシバに関しては、渡りがほぼ終息したと思われますので、集計結果がこれ以上大きく増えることはないでしょう。
今年(2021年秋)の9~10月の集計結果は、
アカハラダカ:15671 16094羽(名護岳:11195 11618羽 嘉津宇岳:4476羽)
サシバ:5313 5316羽(名護岳:4138 4141羽 嘉津宇岳:1175羽)
となっております。
※ 集計ミスがあったので数値修正しました(2021/11/20 )。
今季の調査を振り返ってみると、前半は天候にも比較的恵まれ、アカハラダカはまずまずの個体数がカウントされましたが、後半の悪天候が渡りのピーク時期と重なり、サシバの方は例年に比べると伸び悩んだような印象です。
また、活動内容として振り返ると、コロナ禍で観察会はできませんでしたが、事前学習会はオンラインでより多くの方と交流でき、現地では名護岳・嘉津宇岳ともに訪れた様々な人たちと調査員が交流を深めることができ、各メディアでも調査のことを取り上げて頂き・・・と、大変充実していたように思います。
調査に関わった皆さん、ひとまずはお疲れさまでした!
(名護岳はまだ続いていますが!)
↓ 取り上げて頂いたメディアの紹介ページ ↓
おまけ その他の生きもの、景色など
10月19日から、アサギマダラもコンスタントに観察されるようになってきました。
海をこえて北からやってくるチョウです。
全国の愛好家や研究者が、アサギマダラの標識(マーキング)調査のネットワークを作っていて、これまでに嘉津宇岳でも富山県や長野県などで標識されたチョウを見つけています。
今年はまだ、地元沖縄以外の標識は見つけていませんが・・・
タカの調査は終わりましたが、アサギマダラを見に通うかどうか、思案中です。
ところで、大気や日差しの条件などが良いと、対岸の地形がよくわかります。
上は、久志岳を背に見る数久田の集落。谷間に流れる轟川(数久田川)の周りに集落が発達し、背後に段丘がせまっているのがわかります。
この段丘の縁に轟の滝があり、滝の上下で生物相が変わるほどの境界になっているんだなぁ・・・とか、
集落に霧がかかっているのが幻想的ですが、この霧の状態が濃くなると、いつぞやの雲海のような景色が見られるのかぁ・・・などと、
景色を見ながらボンヤリ考えていました。タカがいないヒマなときにですが。
嘉津宇岳展望台から名護市~大宜味村の西海岸方面を見ると、最近沖縄を騒がせている軽石が帯状に漂流しているのが見えました。
上の記事内でもふれましたが、10月17日から強い北風が吹き始め、それまで東海岸で見つかっていた軽石が西海岸でも大量に漂着するようになりました。
私も、何度か現地の様子を確認しに足を運んでいますが、どこが水際なのかわからないほど沖までびっしり漂着し、一面灰色の場所もありました。
軽石については、機会があったらまた別の記事で取り上げたいと思います。
(NM)