今年の2月に当館が管理する敷地内の砂場に埋めたスジイルカの骨格を掘り出しました。名護市内の海岸に打ち上がった死がいから骨格標本を作るために大まかに徐肉して埋めておいたものです。
なごはくサポーター(ボランティア)や博物館関係者の皆さんの協力を得て、総勢10名強で掘り出しました。
骨がバラバラにならないように、部位ごとに分けて寒冷紗(網)で包んで埋めてありました。
網をていねいに外すと、中からきれいに肉がなくなった骨が出てきます。
上は頸椎(けいつい)。首の骨です。哺乳類の頸椎は基本的に7つですが、イルカやクジラは水中生活に適応して首が短くなり、7つのうちいくつかの骨が癒合(ゆごう)して一緒になっていることが多いです。スジイルカは1・2番目がくっついているようです。
尾に近い方、尾椎の下にはV字骨という太い血管が通る骨がぶら下がっているので、なくさないよう要注意。また順序もバラバラにならないよう気をつけながら、砂などを取り除いていきます。
なお、上の写真は左が尾に近い方ですが、この先にさらに細かい骨があるので、それは別に分けてあります。
上は、頭の骨(上顎)を逆さにした状態です。逆さにして埋めないと、歯が抜け落ちてバラバラになってしまいます。写真では何本か抜けていますが、残念ながら埋めた(入手した)ときにすでにありませんでした・・・
左の下あごの骨です。先の方の歯がないですが、これも入手時にすでにありませんでした。残った歯も少しいじるとすぐにポロっと取れるので、要注意!
砂を大まかに落とし、配列等を記録した後、水洗いしてきれいにします。
大まかに水洗いした頭の骨。
この日は、掘出と大まかな水洗いまでは終わったのですが、いくつかの部位は掘り出して砂がついた状態のまま日が暮れてしまったので、後日つづきの作業を行いました。
残っていた胸鰭(むなびれ)の部分。骨を動かさないように慎重に網を外し、砂を取り除きます。上の写真は左の胸鰭です。
大まかに砂を取り除いた状態。骨の位置や向きなどを記録しておきます(少し動いてしまった骨もありますが・・・)。
きれいに水洗いした胸骨と肋間骨。
水中生活でいらなくなった後足のなごり。この骨盤もなくしやすいので、埋める前の解体の段階で別に分けておく必要があります。
・・・さて、ひとまず全体の大まかなクリーニングまでは終わりました。
以前マダライルカの骨で同じような内容を紹介しましたが、そのときは埋めすぎたせいでだいぶ骨が痛んでいました。
今回は適切なタイミングで掘り出すことができたので、骨の状態は良好です。
これも掘出作業等の協力のために集まってくださった皆さんのおかげですね!
ありがとうございました!
惜しむらくは、入手した時点でいくつか欠けている部位があって完全ではないことですが・・・
なお、今後は脱脂(油抜き)や漂白等の作業があります・・・
・・・が、上に挙げたマダライルカを含め、ウミガメやネコなど、クリーニングまでで止まっている骨がたくさんあります。
早く処理しなければ!
(NM)