3月1日(水)に新しい名護博物館がプレオープンし、数日が経ちました。初日から多くの方に足を運んで頂いております。
ありがとうございます!!
チラシなどでも周知しておりますが、博物館の顔ともいえる2階の常設展示は、5月2日(火)からの公開スタートとなります。
もうしばらくお待ちください!
この記事では、プレオープン展示の見どころなどを簡単にご紹介します。
正面玄関から本館1階のエントランスに入ると、すぐ右手にコビレゴンドウの全身骨格が見えてきます。
旧館でも展示していた資料ですが、より近くで観察できるようになり、見た目の雰囲気も大分変わりました。
というのも、骨組みを支える金具等を一新、骨もきれいにクリーニングした上、骨格の組み方もより正確なものにして、姿勢を新たに生まれ変わったからです。
コビレゴンドウは、名護で「ピトゥ」と呼ばれている鯨類の代表種で、捕鯨文化を語るときには外せない存在です。
この骨格は全長4 m程度ですが、2階の常設展示では、2倍以上の大きさになる大型鯨類の全身骨格も展示しています。5月2日(火)の公開開始後にぜひご覧ください!
無料スペースである1階のエントランスホールでは、「名護・やんばる」がどのような場所なのか、その概要を簡単に紹介しています。
上の写真は、特徴的なやんばるの自然を語る上で、その土台となる大地がどのようにできたのかを紹介するコーナーです。
難しい地質学の言葉をなるべく使わないで、視覚的にわかるよう動画をメインにした解説を行っています。
動画に関連する標本などの資料も少し展示しています。
上の写真は、琉球列島の中でやんばるを含むごく限られた場所でしか見られない固有種の展示です。
エントランスホールから中庭に抜ける手前には、歴史年表のコーナーがあります。
人類がこの大地に住み始めてから、新しい名護博物館が開館する現在に至るまで、どのような出来事があったのか、名護・やんばるの出来事を中心に、日本・世界の出来事と比較しながら紹介しています。
職員が最後の最後まで構成やレイアウトに頭を悩ませた力作です。
協力機関等のパネル展示
プレオープン中の見どころの一つとして、3月31日(金)まで、様々な機関等の協力によってパネル展示が行われていることです。
玄関から入ってすぐの場所には、「国立自然史博物館を沖縄に!」の展示があります。
日本の国立博物館では、国立科学博物館が自然史の分野を扱っていますが、純粋に自然史のみを対象とする国立館はありません。
私たちのくらしは、自然の上に成り立っているので、自然を理解することは非常に重要なことです。国立自然史博物館が沖縄にできれば、国内だけでなく、アジア地域においても重要な意義を持つ国際的な自然科学の拠点となるでしょう。
自然史の分野では、標本がとても大事な役割を持ちます。
当館の所蔵標本も併せて展示しておりますので、ぜひご覧ください。
なお、右手にある赤い鳥(アカショウビン)の仮はく製について、「目が白くて怖い!」という声もチラホラ聞こえてきておりますが、白いのは脱脂綿です。
学術研究用の標本である「仮はく製」では、展示用の「本はく製」のように作りものの義眼(ぎがん)を入れることはありません!
玄関から入ってすぐ左手にあるギャラリーでは、名護市環境フェアに関連するパネル展示が行われています。
上の写真は名護市環境対策課の展示で、ハブ対策や近年大きな課題となっている外来種等の問題が紹介されています。
名護市で急増している特定外来生物のタイワンハブのはく製なども展示しています。
ギャラリーでは、「ALLやんばるまなびのまちプロジェクト(以下ALLやんばる)」の参画機関による展示も行っています。
上の写真は国際海洋環境情報センター(GODAC)と、ALLやんばるで取り組んだ「沖縄キッズドクター育成プロジェクト」による海洋ゴミ(マリンデブリ)に関する展示です。
「沖縄キッズドクター育成プロジェクト」では、2020年から3か年かけて未来を担う子どもたちに海洋ゴミの現状や課題解決にむけて考えてもらい、そのアプローチの方法について提言してもらいました。
子どもたちによる海洋ゴミに関する調査結果や、ゴミをなくすためにどうすれば良いのかのアイデアが発表されていますので、ぜひご覧ください。
沖縄こどもの国は、いろいろな動物のうんちを学べる展示を行っています。
うんち?と思う方もいるかもしれませんが、うんちを知ることは、その動物を知ることでもあります。動物の種ごとの生態や体調など様々なことがわかるでしょう。
名護市の嘉陽にある美ら島自然学校(沖縄美ら島財団)は、ウミガメの飼育、保全に関する展示を行っています。閉校した嘉陽小学校を活用した施設で、昔からウミガメの保全に地域ぐるみで取り組んできた経緯があります。
嘉陽で子どもたちと一緒に取り組まれているウミガメ保全の様子などが紹介されています。
最後に、OIST(沖縄科学技術大学院大学)の「OKEON美ら森プロジェクト」によるアリを中心とした展示があります。
当館が管理している旧源河小学校もこのプロジェクトの調査サイトの一つで、5年以上にわたってモニタリング調査が行われています。
一時期世間を騒がせた外来種のヒアリについての展示もあります。
まだ沖縄では侵入が確認されていませんが、その事実を確かめる際に、このプロジェクトのモニタリング調査が非常に役立ったそうです。
長年に渡って様々な場所で同じように調査することでその動向を科学的に捉えるモニタリング調査が、いかに大事なことなのかがこの例でもわかるでしょう。
古民家では
中庭の古民家では、3月5日(日)のイベントに向けて名護博物館友の会の皆さんが準備を進めています。
5日(日)は、身近な草木を使った昔ながらの玩具づくりが行われる予定ですので、ぜひ足をお運びください。
古民家の中には、友の会員の皆さんの作品がずらりと展示されています。
友の会が制作に数年をかけた「なごはくかるた」の試作品も置いてあり、遊ぶことができます。
名護・やんばるの自然について楽しみながら学ぶことができるでしょう。
プレオープンした名護博物館、ぜひご来館ください!
(NM)