日々のなごはく。

名護博物館ブログ

巣 ノグチゲラ

さかのぼること約2ヵ月。

5月のはじめごろから、国頭でノグチゲラの巣を観察していました。

みごとに掘られた巣穴。

そして親鳥がエサを運んでくる瞬間を、ひたすら待つ。

・・・

絶対に子育て邪魔をしてはいけないので、できるだけ息をひそめて待つ。
(蚊にたかられても我慢)

・・・・・・

フイッ、フイッ

という鳴き声が聞こえた次の瞬間・・・

おっ

来たーーー


ノグチゲラ Sapheopipo noguchii
キツツキ科 方言名:キータタチャー

その姿を確認した時は、やはり感動です。
蚊と闘いながら待ったかいがあります。

オスもメスもエサ運びから巣の中の掃除まで、
忙しく飛び回っていました。

その約1ヵ月後には、ヒナが無事巣立ったそうです。
(巣立ちの瞬間、見たかったな・・・)

今回は写真の他に、動画も撮影してきました。
その様子は秋に開催する「鳥の巣」の企画展で改めてご紹介したいと思います。


沖縄島北部山林にのみ生息する一属一種のキツツキとされているノグチゲラ
(最近はアカゲラ属の一種とする見解もあるようです。)

開発を目的とした森林伐採による生息環境の縮小・分断化が、
個体数を減少させる直接の原因になってきました。

しかし、最近は増加傾向にあるハシブトガラスが、
ノグチゲラのヒナを襲って食べている様子を頻繁に観察されています。
また、ノネコ(野生化したネコ)と思われる動物のフンから、
ノグチゲラの羽や爪が発見されたそうです。

こうした脅威によりいまだ絶滅の危機にさらされる中、少し明るい話題も。

実は2年前に名護岳でもノグチゲラが確認されています。
この記事を覚えている方も多いのでは?
2009年9月16日 琉球新報
2009年9月16日 沖縄タイムス
 
営巣や繁殖は確認されていませんが、分布域が拡大しているかもしれない、
嬉しいニュースでした。

カラスのエサとなるゴミをきちんと管理することや、
ネコをはじめ生きものを飼うときには責任をもって最後まで面倒をみること。

当たり前のルールをしっかり守っていくことが、貴重な生態系を守ることにつながります。

いつか名護市の山でノグチゲラの子育ての様子を見てみたいですね。

(ひ)