日々のなごはく。

名護博物館ブログ

メタリックな輝き 〜名護の川から〜

こんにちは。梅雨も明けて、いよいよ夏本番という感じですね。

さて、今年は11月に名護の川の企画展を行う予定です。
そこで今回は名護の川の魚の話題を。


最近、川で撮影したこの魚。

宝石のような輝きをもつ、大変キレイな魚です。川魚は地味だな〜なんてこの魚の前では言えません!
ナンヨウボウズハゼ (学名:Stiphodon percnopterygionus 方言:イーブー)のオスです。

撮影したのは、名護東海岸に面する自然度の高い川ですが、街中の川でも水が比較的きれいであれば普通に見かけます(博物館周辺の川にもいます)。見かける場合は、群れでいることが多いです。
といっても、大きさが5cmにもならない小さなハゼですので、川の上から見ていても、なかなか気づかないかもしれません。


こちらは別の川(西海岸)のオスとメス。シマが入っているやや地味〜な方がメスです。
人間とは逆ですね(笑)
このオスは鰭(ひれ)が赤く最初の写真のオスと少し雰囲気が違いますが、メスにアピールするための婚姻色(こんいんしょく)のパターンが2種類あることが知られています。

ボウズハゼのなかまは、岩などについている藻類(そうるい)を主に食べますが、このナンヨウボウズハゼも例にもれません。
下向きについた口をせっせと動かして食事する姿は、なかなか見ていて面白いです。

沖縄の川で見られる多くのハゼ類は、川で生まれてから海へ下り、海中生活を経て川へまたやってくる両側回遊性(りょうそくかいゆうせい)の種が多く、ナンヨウボウズハゼもその一種です。

最近の研究で、沖縄島での産卵期はおよそ5月〜12月と考えられているようです*1
魚は、生まれてからしばらくは浮遊生活を送る種がほとんどですが、本種の場合この期間が約2ヶ月半〜5ヶ月だそうです*2
海から川へやってくる頃(体長は15mmくらい)に、浮遊生活から底生生活に移ります。場合によっては、黒潮に乗って沖縄より南の地域からやってくる可能性もあるとか。

川へ行く機会があったら、ぜひ、水中をのぞいて見てください。
キラリと光るメタリックな輝きが見えたら、それはこのハゼかもしれませんよ!

(NM)

*1:Yamasaki, N. and K. Tachihara (2006) Reproductive biology and morphology of egg and larvae of Stiphodon percnopterygionus (Gobiidae:Sicydiinae) collected from Okinawa Island. Ichthyological Research, 53:13-18.

*2:Yamasaki, N., K. Maeda, and K. Tachihara (2007) Pelagic larval duration and morphology at recruitment of Stiphodon percnopterygionus (Gobiidae: Sicydiinae). Raffles Bulletin of Zoology; Supplement 14:209-214.