日々のなごはく。

名護博物館ブログ

名護小学校出前授業

6月後半から7月頭にかけて、名護小学校4年生の総合学習で市内河口域のマングローブ干潟観察に行ってきました!


前半はまだ梅雨が明けておらず、雨も降ったりしましたが、後半は良い天気に恵まれました。


ヒルギ林の中の観察。オキナワアナジャコの巨大な塚があり、まるで別世界。
塚のまわりの地面は固いですが、その他はほとんどぬかるんでいて、子どもたちも足をとられていたようです(でも、大はしゃぎでしたが)。
干潮時の観察でしたが、こういったぬかるんでいるところは、潮が満ちてくると、海の水が入ってくるんだよ〜、といった説明をすると驚きの声も。


ヒルギの花と胎生種子も観察。


少し場所を移動して、川の河口近く。
開けた干潟で、底質もさらさらした砂が多いです。


この場所では、ミナミコメツキガニの大群が食事をしている姿を見ることができます。
黒い点がすべてカニです!
彼らは、干潟の砂の中にたまった栄養分をエサにし、干潟をきれいにしてくれる掃除屋さんです。


近くで見ると、丸っこい面白い形をしたカニです。
カニは横に歩くというイメージがありますが、彼らは縦に歩きます。


近づくと、くるくる回りながら砂に潜ってしまいます。
食事をしているところを見るためには、カニが近づいてくるまでじっと待つか、双眼鏡で観察するか・・・
とにかく、辛抱強く待つことが必要ですが・・・
今回は時間の都合もあり、じっくりと観察することはできませんでした。残念!


最後に、河口からやや上流の干潟に移り、実際に子どもたちに生きものを探してもらいます。
マングローブの根のすきま、石の下、泥の中、流れの弱いところ、強いところ・・・
様々な環境に色々な生きものがいます。


地面にささったメヒルギの胎生種子

このような自然観察を行うたびに思い知らされるのは、子どもたちの生きものを見つける能力の高いこと!
普段なかなか目にしない生きものも、めざとく発見して「これ何〜?」と持ってきます。


ヒルギの下にたくさんいたツノメチゴガニ
目からピョンと出た突起と、両のハサミを上下にふる姿が見ていて面白い小さなカニです。


泥の中にいるスナモグリのなかまを掘り出した子も。
お腹には卵が付いています。


拡大すると卵の中に眼が見えます。


フタバカクガニ(左)、オキナワハクセンシオマネキ(下)
オキナワアナジャコ(真ん中)
左にくっついている魚は、まだ小さいミナミトビハゼ(地方名:トントンミー)です。

小ぶりですが、オキナワアナジャコを発見した子がいたことにはびっくりしました。
探しても、なかなか会えるものではありません。


オキナワアナジャコをメヒルギの根元に置くと、人目も気にせず、穴を掘り出しました。
ブルドーザーのようです。

子どもたちが捕まえるのが難しい大きめの魚などは、投網を使って捕まえます。


シマクロサギ

セスジボラ
(これらは下見のときの写真です。本番では写真を撮り忘れました!)

生きもの探しに夢中になると時間が経つのもあっという間!
観察が終わったら、生きものを元の場所に返して終了です。

今回の観察で、ざっと思い出しただけでも、30種以上の生きものを観察することができました。
生物多様性というと難しいですが、子どもたちにも、マングローブ干潟の自然の豊かさ、生きものの多さを肌で感じてもらえたと思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 オマケ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
満潮時(夜)に上のオヒルギ林の中に入ってみました(上の出前授業とは別の話ですよ!)。
干潮時に見えていた地面は水の中です。


バシャっという音の方を振り返ると、オヒルギの膝根の間をニョロニョロ泳ぐヘビのような魚。

どうやら、ゴマホタテウミヘビのようです。エサを探してはい回っていました。


アカテノコギリガザミに会うこともできました。
この間の記事(こちら)で、市内でまだ見たことがないと書きましたが、やはりそういった生息環境に足を運んでいないだけだったようです。

上:アカテノコギリガザミ(以下アカテ〜) 下:アミメノコギリガザミ(以下アミメ〜)
アカテ〜は甲の色が黒っぽいほか、目の間のトゲが丸く、アミメ〜のようにとがっていません。
また、脚にはアミメ〜のような網目模様がありません。

アカテ〜は、アミメ〜より内陸の泥っぽい場所にいるとされています。まさにそういった場所でした。
まだまだ知らないことがたくさんありますね。
子どもたちと同じで、私も新しい発見にはワクワクします!

(NM)