日々のなごはく。

名護博物館ブログ

トーイユの卵がふ化しました!


タイワンキンギョ(沖縄名トーイユ) Macropodus opercularis ♂
博物館で飼育しているトーイユの卵がふ化しました。
屋外に置いてある水槽で、毎年この時期、4〜6月頃に繁殖行動が見られます。
3月31日に、オスが巣を作っているのは確認しましたが、年度の変わり目で慌ただしく過ごしているうちに、いつの間にか産卵し、気づいたら生まれていました(汗)


赤ちゃんが生まれているのに気付いたのは、4月7日。


オスが泡で水面に作った巣に、みんなぶら下がっていました。


上から見たようす。水草(クロモ)のすき間をうまく使って、泡で巣が作られています。


見つけてすぐの、赤ちゃん(仔魚)。4mmほどの大きさです。
横から写真を撮りたかったのですが、おなか(卵黄)が大きくて、横にむけた状態で固定できず・・・
この写真はおなか側が上をむいています。
口は開いているようですが、未発達です。


4月12日。見つけてから5日目(背中側が上)の仔魚。
卵黄を吸収して、だいぶおなかが小さくなりました。


今度は、横から撮ることもできました。
口まわりもしっかりして、魚らしい顔つきになっています。

さて、生まれた赤ちゃんは、ゆうに100個体以上はいるようですが、どれくらい生き残ることができるのか・・・

ちなみに、闘魚を沖縄の言葉で呼ぶと「トーイユ」になるわけですが、読んで字のごとく、この魚は気性が荒いです。
オス同士は激しくケンカをすることで有名です。
他の生きものにも攻撃的で、一緒に飼える魚やエビなどの選択肢が少ないのが難点。

オスは、泡で巣を作り、メスを誘うまではジェントルマンですが・・・
卵を産んだとたん、愛情は子どもに移り、メスを巣から追い出します。
メスが巣に近づこうものなら、これでもかといわんばかりに追いかけ回し、攻撃します。
とんでもないDVです(汗)

オスは、巣から落ちた卵を口にくわえて巣に戻したり、子どもを守ったりと、わが子は溺愛するのですが・・・
メスは気の毒で、目もあてられません。去年も、同じオスにこっぴどい目にあわされていました。
卵を産んだ後は、石などで目隠しを作ってオスからメスが見えないようにしたり、メスを別の水槽に避難させたりすることもあります。

ところが、次の産卵の時には、オスは何事もなかったかのように、また紳士の仮面をかぶってメスを誘います。
そんな様子を見ていると、「コヤツ・・・」と心の中でつぶやいてしまいます。

(NM)