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名護博物館ブログ

川の生きもの探検 in 羽地ダム鯉のぼり祭り 2017

大型連休も終わって少し経ちましたが、今年も「羽地ダム鯉のぼり祭り」の川の観察会ガイドで羽地大川へ行ってきました。
こちらの記事の本番でしたが・・・

今年は天候に恵まれず、一日目は大雨で中止、二日目も午前中は雨が降ったり止んだりでした。


二日目の午前中、天気が悪い中でも、一生懸命生きものを探す参加者の皆さん。

例年どおり、20種ほどの生きものが観察できましたが、エビやカニ、ヨシノボリ類が数年前に比べて明らかに減っているのが気がかりです。


シマヨシノボリのメス

おなかが青いのは、産卵期のメスの特徴。
産卵期は、もう終わりにさしかかっていると思います。


二日目の午後はどうにか雨も上がり、毎年恒例のウナギのつかみ取りも行われていました。
写真のように大盛り上がりなところに水を差すようですが・・・


観察会の後に、羽地ダム資料館の展示を見に行ったところ、このような展示がありました。
前々から心配していたことですが・・・ウナギのつかみ取りは一応ネットを張って逃げられないようにしてから行っているものの、護岸の石組などのすき間に入ってしまい、捕まえきれずに川へ逃げたままの個体がずいぶんいるようです。

川に放されたウナギは、元々自然下には生息していない外来種です。
ウナギは肉食なので、逃げ出したら当然その場所のエビやカニなどを食べるでしょう。
そうなると、これまで保たれてきた生態系のバランスがくずれてしまうことは容易に想像できます。

ウナギは、産卵のときに川から海へ下る降河(こうか)回遊魚なので、この場所で繁殖して増えることはありませんが、それでも比較的長生きする魚なので、このまま毎年放流して逃げ出したウナギが増え続けると生態系に与える影響は無視できないと思います。

これまで、ダム祭りの関係者の方々に、ウナギつかみ取りは完全に囲まれた人工プールか何かの中でやるべき、という話を折に触れてしてきましたが、そろそろ本気で検討してもらいたいところです。
その方が、採捕率も上がって参加者の満足度も上がるはずです。


今年は、外来種の問題について紹介するブースもありました。
去年、講座などでもお世話になったSさんのブースで、外来種(魚中心)の水槽展示もありました。


その隣は環境省のブースで、主に屋我地島のアジサシに関する展示がありました。
折り紙が大人気!


実は、このブースで展示されていた岩礁の模型は、以前当館の企画展(こちら)で制作したものです。
また、ベニアジサシやエリグロアジサシのはく製標本も当館から貸し出しています。
このような場で活用されて、うれしい限りです。

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さて、話を川へ戻しますが、連休中は、源河川や平南川、タナガーグムイで水難事故があり、新聞等でも大きく取り上げられましたね。
沖縄本島の川は短く勾配が急なので、上流で雨が降るとあっという間に水かさが増すことがあるので要注意です。

今回の観察会の場所は、人の管理下にあるダムの下流であるため、急激に水かさが増すようなリスクは少ないですが、それでもやはり注意は必要です。自然の川で遊ぶときには、最低限の知識を身につけておかなければなりません。

ちなみに、源河川の水難事故については、私は事故発生の2時間ほど前に現場の脇を通過しましたが、最上流から下流まで、すでに空全体がどんより曇っており、雨もパラついていました。


源河川の上流の様子(2017年5月5日12時頃)

そんな天気なのに、川で遊んでいた人があまりに多くて驚いたくらいです。
新聞等の報道では、晴れていたのに急に水かさが増した・・・という表現が目立ちましたが、決して予測不能な状況ではなかったと思います。

川で遊ぶときは、天気予報に気を配り、少しでも雨が降りそうなときは、「水かさが急に増すかも・・・」ということを常に頭の片すみに置いておく必要があります。

(NM)

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● 2016年 川の生きもの探検 in 羽地ダム鯉のぼり祭り 2016
● 2015年 生きもの探検 in 羽地ダム鯉のぼり祭り
● 2014年 羽地大川生きもの探検