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名護博物館ブログ

生きもの探検 in 羽地ダム鯉のぼり祭り

今年も、「羽地ダム鯉のぼり祭り」の川の観察会に行ってきました。
5月2日、3日の午前、午後の計4回で、約160名の参加がありました。
その様子を紹介します!


場所は、ダムの下の親水公園のようになっているところです。

まずは、参加者に川の説明や、どんな生きものがいるのか簡単に紹介。
そして、生きものの取り方のレクチャーを!


水際の川下に網を置き、足などを使って、川上から網へ誘いこむようにすると・・・


写真ではわかりませんが、もう捕れました!


ハゼのなかまの、アヤヨシノボリ

この時期、3cmくらいのヨシノボリが水際や川底の石の下などに大量にいるので、捕まえるのは簡単です。
一番多かったのは、クロヨシノボリ(写真撮るの忘れました!)。次いで上の写真のアヤヨシノボリ、シマヨシノボリでした。
クロヨシノボリは、ウジャウジャいて、一回で10尾以上入ることも。

彼らは、海から川へやってきて、上流へ上っていく最中だと思われます。上流のダム湖で増えた個体が流されてきた可能性もありますが・・・
何にしても、たくさんいて初心者にも取りやすいですし、他の在来の魚はあまりいないので、この観察会を支えてくれている一番の功労者です。
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さあ、レクチャーのあとは、参加者が生きもの探しに挑戦!


箱メガネで魚を見つけ、網を使って捕まえる共同作戦!
うまく捕まえられたかな?


何かとれた・・・?


置き石があり、水が勢いよく流れこんでいるような場所。


このような場所で、数は少ないですが、ヒラテテナガエビが取れていました。
写真は、ハサミ脚(第2胸脚)が長いオスです。


こちらは、卵を持ったメス。
このテナガエビは、流れの速い場所を好みます。


川岸に草が生えているような場所。
草陰を網ですくうと、色々な生きものが捕れます。


トゲナシヌマエビ
テナガエビより小さく、大きさは2〜3cmほど。


若いヒラテテナガエビに寄生するエビノコバン
ダンゴムシなどと同じ等脚類(とうきゃくるい)と呼ばれるグループに含まれる生きものです。
羽地大川のこの場所で採集されるヌマエビや若いテナガエビには、なぜか高確率でこのエビノコバンが寄生しています。
市内の他の川で、私は見かけたことありません。


オオミズスマシ
大きさは1cmほど。水面をクルクル回りながら泳ぐ様子は見ていて面白いです。


タイワンウチワヤンマの幼生(ヤゴ)
参加者が変な生きものとれた〜、と持ってきてくれました。
池や沼など、水の流れのない場所で見られるトンボですが、下流の方は流れがほとんどない淀みになっていたため、捕れたのでしょう。

流れのあるところを好むアカナガイトトンボの幼生もたくさん見ることができましたよ!

成虫も飛び回っていました。写真を撮り忘れたので去年の写真です・・・
オスは鮮やかな赤色で、きれいなトンボです。
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そして最後に・・・
取れてもうれしくない外来種の生きものたち。


ティラピアのなかま。
アフリカ原産。この場所では、かなりの数が毎年見られます。
これだけ多いと除去するのは難しいでしょう。


ソードテール
メキシコ原産。名前は、オスの尾びれが剣のように伸びることから。
去年、一昨年は確認されてないので、最近になって誰かが放流したのかもしれません。
定着されると困るので、かわいそうですが除去しました。

さて、今回の観察会で、カエル、魚、エビ、カニ、貝、水生昆虫など、約20種の生きものが確認されました。
去年と比べると、エビやカニの数が少なかったかな、という印象でしたが・・・
参加者の皆さんには、生きものの取り方に加え、川の環境によってすんでいる生きものも違うことを学んでもらえたと思います(多分)。

しかし、残念ながら、この場所の生物相は、他の川に比べて豊かとはおせじにも言えません。
しかも、20種のうち、4種が本来いるはずのない外来種です。

生物相があまり豊かでないのは、親水性を優先したため、川の環境の変化が乏しいのが一つの要因だと思います。
そして、こういった環境が単調な場所でも、繁殖力の強い外来種は簡単に数を増やしてしまうのが問題です。
今年で3回目となるこのイベントですが、観察会でより多くの生きものを見られるように、川の環境整備なども含めた活動が何かできないかなぁ・・・と個人的に思いました。

今後の観察会で、外来種ばかりが捕れるようなことにならなければいいのですが・・・

(NM)

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