骨格標本用に埋めておいたアオウミガメを掘り出しました。
以前このブログで紹介した、名護市内の砂浜に死体で漂着したものです。
↓ 紹介記事
骨がバラバラにならないよう部位ごとにに分けて網につつんで埋めてありました。
埋めておくうちに、微生物などが肉を分解して骨だけにしてくれます。
網の中に植物の根っこなどが入りこんでいるため、網を外すときはこの根を切りながら慎重に外します。根っこに引っ張られて骨が動いてしまうことを避けるためです。
網を外した後は、化石をクリーニングするつもりで、ハケなどを使ってこれまた慎重に砂をどかします。
そうすると・・・
冒頭の写真のように、骨がきれいに並んだまま出てきます。
これが埋める前の状態の前肢です。板の上に固定することで、正しい骨の配列を維持することができます。
こうした細かい骨が埋めておくうちにバラバラになってしまうと、正しい向きや並びなどを復元することが難しくなってしまいます。
バラバラの状態から正しく復元するには、相当な知識量と経験が必要になるでしょう。私もウミガメについて何度かこういった作業をしてきましたが、ようやく何となくですが配列がわかるようになってきました。
配列を記録して、骨についた砂をきれいに落としました。
手の根本にある骨(手足骨)は、平面に置くとコロコロ転がってしまうので、粘土などの上で正しい並びで固定します。
この後、骨の中にある脂を抜いたり、漂白したりする作業がまだありますが、今回はここまで。
おまけ
ところで、掘り出し・クリーニングするときに、注意していてもうっかり骨を落としたりして、配列がわからなくなってしまうことがあります。
また、埋めておいた期間中に、何らかの要因で砂の中で骨が動いてしまうこともあります。
そんなこんなで配列がわからなくなってしまったときは、骨に関する論文や資料などを漁ることになります。
最近は論文のオンライン化も進んでいますし、昔に比べればこうした作業はずいぶん楽になったように思います。
また、海外の博物館や公共の研究機関、研究者などが、骨格の3DモデルなどをWEB上で公開していてます。様々な角度から立体的に見られるので、参考になるだけでなく、眺めているだけでも面白いです。
下にいくつか紹介しておきますので、ぜひグリグリ動かしてみてください。