日々のなごはく。

名護博物館ブログ

千葉県館山市からのおくりもの 〜新博物館資料収集・ザトウクジラ全身骨格〜

少し前の話になりますが、先月27日(水)、千葉県館山市の海岸に埋められていたザトウクジラ全身骨格の掘り出しを行いました。このクジラは、館山市の海岸に死体で打ちあがった全長約9.6mのメスです。

名護博物館は、このクジラの全身骨格を収集するため、以前から全国の情報を集めていたのですが、今回、館山市から友好の証として、この全身骨格を名護博物館に譲って頂く運びとなりました!



2010年1月に館山市の海岸に座礁したザトウクジラ
※ この写真をふくめ、この記事の多くの写真は、館山市立博物館から提供してもらいました。
ザトウクジラと名護市にどんな関係があるのか、
また、ここまでたどり着くまでの受難の道については・・・過去の記事を呼んでいただければわかると思います。
○ 静岡でのチャレンジ⇒こちら
○ 名護のザトウクジラ目撃情報についてはこちら⇒12

さて、今回の掘り出しの様子を少しだけ紹介します。

朝の8時から作業開始。風が強く、飛んでくる砂が痛いほどでした。
この日のために、館山市立博物館、千葉県中央博物館、国立科学博物館から関係のある方が集まり、手伝って下さいました。地元のボランティアの方なども加わり、総勢20名での作業です。


掘り出された骨(肋骨など)

頭の骨(手前)、肩甲骨(中央左)、脊椎骨(奥)など

このクジラが若いこともあり、骨がもろく、ところどころバラバラになっています。
展示するためには、骨を修復し、強化する作業が必要です。


胸鰭(むなびれ)をつつんでいた網を慎重にはずしています。
クジラの鰭の中には私たちと同じように指があるわけで・・・
埋めるときには、細かい骨がなくならないように網でつつみます。網には農業用の寒冷紗などを使います。
その網も、掘ったときに乱暴にはずすと、骨の配列がバラバラになり、わけがわからなくなってしまいます。
そんなわけで、慎重&真剣!


右の胸鰭です。
よ〜く見ると、もとの鰭の形が見える気がします。

こんな感じでしょうか。

ザトウクジラの鰭につくフジツボも、そのままの位置で残っていました。
ミミズもたくさん。

テレビ取材を受けるY学芸員
その日の夕方と次の日の朝のニュースで、大きく取りあげて頂きました。


骨をコンテナに積んで、作業終了!
骨を修復する作業は、非常に高度な専門技術が必要なので、いったんは京都にある業者さんのところへ運びます。

手伝って下さった皆さんのおかげで作業は快調に進み、1日で終えることができました!
本当に多くの方の協力があって、今回の資料収集を行うことができました。感謝の言葉もありません。

このザトウクジラの全身骨格は、現在計画を進めている新名護博物館の展示に活用される予定です!

〜〜〜〜オマケ〜〜〜〜

次の日は帰るまで少し時間があったので、館山市のおとなりの南房総市まで足をのばしました。
南房総市の和田はツチクジラの捕鯨で有名です。

道の駅和田浦WA・O!には、日本で3例しかないシロナガスクジラの全身骨格レプリカが展示されていました。
大迫力です。

クジラの民芸品など捕鯨に関する資料もずらり。
捕鯨文化をPRしています。

名護も頑張らなければ!

(NM)