日々のなごはく。

名護博物館ブログ

名護博物館友の会総会・懇親会〜嘉陽層の褶曲観察会

先週末は、名護博物館友の会総会・懇親会に加え、今年度初の同会イベント「国指定天然記念物 名護市嘉陽層の褶曲を観察しよう!」が実施されました。

名護市嘉陽層の褶曲(国指定天然記念物)
イベントの前日は、友の会総会・懇親会がありました。

懇親会は大いに盛り上がり、会員同士の交流を深めました。

開館20周年時の記念古酒の仕次もありました。
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そして、お酒はほどほどに翌日、
沖縄県立博物館・美術館の宇佐美学芸員を講師にお招きして、嘉陽層の褶曲観察会へ!

まずは、道沿いで手軽に見られる嘉陽層の横臥褶曲(おうがしゅうきょく)を観察。


嘉陽層は、およそ5,000万年ほど前に深海でできた地層とされています。
写真では、斜めに走る断層がきれいに見えます。


少しわかりにくいですが、左側で大きく180°に折れ曲がっている地層(横臥褶曲)の様子が観察できます。
地層が180°も折れ曲がるほどの力が加わったことを考えると、地球が・・・大地が「生きている」ことを、まざまざと実感してしまいます。
ところで、この場所は標高のやや高いところにあり、風雨の浸食を受けて風化しているので、海水の浸食を常に受ける海岸で見られる嘉陽層とは色が全然違います。

そんなわけで、いよいよ本番!
バン崎先端の海岸で見られる褶曲を見に行きます。

バン崎の褶曲が見られる場所は、大潮の干潮時でないと歩いていくことは難しいです。
潮があまり引いていないと、海の中を歩かなければならなくなります・・・(汗)
今回は、絶好の条件でした。


潮が引いている海岸。
西海岸に多い白い砂浜に比べると、ずいぶん違う景色です。
大きな石がゴロゴロしています。
向こう側に天仁屋崎が見えていますが、海岸のすぐ近くまで段丘がせまっているのがよくわかります。


バン崎先端のゴール近くでは、生痕(せいこん)化石がよく観察できる場所があります。
生痕化石は、読んで字のごとく、生物の生活の痕跡が化石となったものです。
恐竜の足跡の化石などが、イメージしやすいでしょうか。



この場所で見られる生痕化石は、嘉陽層が深海で堆積した時代に海底を小さな生物がはい回った跡だと考えられています。
写真ではわかりにくいですが、このはい回った跡は盛り上がっています。
つまり、はい回った上に堆積した層が逆さまになって地表に出ている状態であることがわかります。


ゴール地点のバン崎先端近く。見事な褶曲です。
今回参加者は20名ほどでしたが、写真は私を含め足の遅い後発隊。
ゆっくり歩いていたら、往復で3時間ほどかかってしまいました(笑)。

国指定天然記念物、名護市嘉陽層の褶曲。
理科の教科書でも紹介されるような素晴らしい自然が市内で見られるのはうれしい限りです。

(NM)