前回(こちら)、イボイモリの痛ましいロードキルのことを話題に挙げましたが、その後の状況が気になり、夜間の見廻りに行ってきました。
ロードキルのあった林道近くにあるイボイモリの産卵地では、幼生たちが姿を見せ始めました。今シーズンは源流の水量が少なくほぼ枯れている場所が多かったので、イボイモリの幼生たちにとっても厳しい環境だな・・・と思いましたが、連休中のまとまった雨によって水量は回復、ふ化もいっせいに進んだようです。
また、幼生がいる水場の周辺では卵もたくさん見つかりました。
順調に育つといいですね。
(イボイモリの卵や幼生について、くわしくは下記記事で紹介しています)
なお、この日の晩は雨が降っており、ロードキルが多く見られた4月20日と同じような条件でした。
それほど数は多くなかったですが、道路上を歩き回るイボイモリもやはり確認しました。
上の写真には、3匹のイボイモリと1匹のクロイワトカゲモドキが写っています。どこにいるかわかるでしょうか?どちらも沖縄県の天然記念物で、国内希少野生動植物種にも指定されています。
それぞれクローズアップした写真がこちら ↓
クロイワトカゲモドキはともかく、イボイモリはなぜ1ヶ所に集まっているのでしょうか・・・
実はこの場所は道路整備されてわかりにくいですが、元々は自然の沢があった場所で今でも水が流れています(雨のときにはっきりわかります)。コンクリート舗装された法面と道路下に排水路があり、そこを水が流れているのです。
今ではとてもイボイモリが産卵できるような環境ではないですが、昔の名残りで成体が集まってきていることが予想されます。
なお、写真には写っていないですが、道路下の排水路にもイボイモリがいました。
山の中を通っている道路には、このような場所がたくさんあります。車で通行する際は、このような場所の近くは特にイボイモリがいると考え、注意しながら走ることでロードキルを防ぐことができます。
・・・と言っても、慣れないことにはなかなかムズカシイです。イボイモリは道路上でピタッと止まっていることがほとんど!動きがないので目立ちません。
ただ、何事も慣れなのか、注意しているとそのうち「見えて」くるようになります。経験上、時速10~20 km程度で走行していれば、車からでも路上のイボイモリを見つけて安全に停止することが可能です。
この日の晩は、ロードキルは見つからずホッとしましたが、残念なことに、この後も名護博物館友の会員等からこの周辺で発生したロードキルの情報が届いています。
今月中は路上を歩くイボイモリも多そうなので、引き続き注意が必要ですね。
・・・・・・・・・ おまけ ・・・・・・・・・
この晩は、イボイモリだけでなく、クロイワトカゲモドキも複数見かけました。もう何度も見ていますが、いつ見かけてもうれしくなる生きものの一つですね。
この晩の目的はイボイモリの様子を見ることだったのですが、一番の収穫は上の写真のオキナワオオサワガニに出会えたことです。
このサワガニは沖縄島の固有種ですが、名護より北のやんばるでは特にめずらしい種ではありません。しかし、名護市内においては生息情報がとても乏しい種です。
これまでも市内の生息を確認していなかったわけではないですが、この場所では初めて目にしました。これまで何十回と通った場所ですが、まだまだ知らないことだらけですね。
継続して足を運ぶことの重要性を改めて感じた一晩でした。
(NM)