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名護博物館ブログ

沢歩き in 国頭 〜夜の実習〜

先月から今月にかけて、国頭の沢に何度か足を運びました(真夜中に)!
目的は、この時期繁殖するハナサキガエルを観察・撮影記録するため。

案内は、先日講演会(こちら)でお話しして頂いたC先生。
国頭まで夜間調査に行って帰ってくると夜の3時4時になるのですが・・・
3日に1回のペースで現地に足を運んでいる先生のタフネスぶりには脱帽です!


ハナサキガエル Odorrana narina
私が最初に先生と一緒に足を運んだのは、2/10の夜(正確には、2/11まで入りますが)。
沢に入って上を見上げると、サクラツツジがきれいに咲いていました。

沢沿いには、オキナワスズムシソウの花も。

沢を進むと、あちこちにハナサキガエルがいます。
メスとオスのペアもちらほら。

ハナサキガエルの抱接その1

ハナサキガエルの抱接その2
下の大きい方がメスです。


川の中をのぞくと、水中にもハナサキガエルがたくさんいました。
上の写真では、まぶたのような瞬膜(しゅんまく)が見えていますね!
(なかなか見る機会がない気がします)

そして、カエルが集まっているところには、必ずといっていいほどヒメハブの姿も。


ヒメハブ Ovophis okinavensis
カエルが集まっていることがどうしてわかるのでしょうか?
不思議です。

そうこうしているうちに目的の滝壺に到着!
ハナサキガエルは、流れが落ちこんでいるところの岩の裏側などにたくさん卵を産みつけます。

本気で撮影するためには、水に頭をつけなければなりません!
この日は寒く、水温は14.8℃・・・

意を決して水中に頭をつっこむと・・・

ありました!ハナサキガエルの卵塊(らんかい)です。
きれいと思うか、気持ち悪いと思うかは人それぞれでしょうが、私は、岩の下にぶらさがっている白一色の卵塊が一面に広がって幻想的な光景だと思います。
卵の下には、親たちの姿。力つきて亡きがらになったカエルも沈んでいました・・・合掌。

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それから19日後の3/1夜、卵からかえった幼生(オタマジャクシ)を見るため、再び同じ場所へ!
前回に比べると温かく、水温も17.2℃と高めだったのでまだ余裕がありました(笑)


うわっ!と。すごいです!幼生がウジャウジャ動いていました。

多くの幼生は、卵のぬけがらにぶらさがっています。
このぬけがらは幼生のエサになるそうです。

拡大してみると、まだ体のつくりはしっかりしてないようです。
ヒラヒラとしたエラ(外鰓)がむきだしになっています。

親ガエルたちはというと、あまり姿を見かけなくなりました。

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さらに5日後の3/6夜。
C先生曰く前回の場所にはもう幼生はほとんどいないとのことだったので、同じ水系の別の場所へ。
気温はまた寒くなり11℃台、水温は13.7〜14.3℃。
さらに風の通りがよい場所もあり、かなり寒かったです(汗)


まだぶら下がっている幼生もいましたが、多くは卵があった場所から離れていったようです。


体の作りもしっかりしてきて、オタマジャクシらしくなりました。
腸が発達してきているのがわかります。
この日は、ハナサキガエルの成体は1個体しか見ませんでした。


ヒメハブも川岸の穴の中でじっとしている1匹を見たのみ。
カエル食べ放題の期間は終わり?物悲しげに見えます(笑)

わずか1ヶ月の間にくり広げられる繁殖のドラマに、自然の神秘(と寒さ)を感じた夜の沢歩きでした。
(NM)

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