日々のなごはく。

名護博物館ブログ

まちなか自然探し 〜幸地川 前編〜

最近のお昼休み、カメラを片手に、ひんぷんガジュマルから上流にむかって幸地川沿いの散歩に出かけることが多いです。
幸地川は街中を流れる川にも関わらず、水は比較的きれいで、たくさんの生きものがすんでいます。

博物館から徒歩ですぐ到着。
橋や沿道から川を見下ろしてみます。

セスジボラの群れ。ユゴイも混じっています。
このあたりは潮の満ち引きで海水も入ってくる場所(汽水域)なので、海の魚もよく見かけます。
ボラのなかまは何種かいて、見分けるのはなかなか難しいですが、セスジボラは名前の通り、背中(背びれの前)の真ん中が盛り上がって筋のように見えます。
と、いっても、写真だからわかりますが、動いていたら見分けるのはハードルが高いです(笑)


ゴマフエダイ(沖縄名:カースビ)の幼魚(下)とユゴイ(ミキユー)の幼魚(上)

こんなシマシマの魚も普通にいますが、見たことあるでしょうか?
シマがあってきれいなのは、幼魚のうちだけですが(笑)


ゴマフエダイギンガメアジ(ガーラ)の幼魚(右)

追いかけっこ。群れを作っていないと不安なのか、違う種だろうがおかまいなく、ピタッと寄りそって泳いでいるのをよく見かけます。

海の魚の中には、幼魚の頃に川の汽水域ですごす種が少なからずいます。
この2種は、その中でもさらに淡水域まで入ってくる種です。ギンガメアジやボラは、他の川ではリュウキュウアユやフナなどと一緒に泳いでいるところを見かけることもあります(幸地川にはアユもフナもいません。昔はいたらしいですが・・・)。


誰かのサイフが・・・


魚をねらって、イソシギ登場。
口に何かくわえていましたが、おそらく、この辺にたくさんいるチチブモドキなどではないかと思います。


ちなみにチチブモドキはこんな魚。ハゼのなかまです。
潮が引いて、川底が見えているときなら、石の下の水たまりなどで簡単に見つけることができるでしょう。
写真は、前にこの近くで水中撮影したものです。


ハクセキレイもいました。
他にキセキレイカワセミなどもよく見かけます。
カワセミの写真を撮りたいのですが、カメラを持っているときにかぎって姿を見せてくれません(笑)



川沿いの街路樹の枝にはメジロが。


枝先にとまっていたベニトンボのメス。


この間は、ふと上を見上げたら、ミサゴが飛んでいました。
魚食性の大型のワシタカ類です。
幸地川の魚をねらっていたのかも?・・・しれません。

さて、少し上流に足をのばして、東江中学校の前へ。

この辺りは、川へ下りられるようになっており、木や草なども生えていて見た目にも自然のせせらぎに近いです。
ここまで来ると完全な淡水で、澄んだ流れの中をユゴイやハゼ類がたくさん泳ぎ回っている様子が川の上から観察できます。

また、水際に草が生えているので、そのような環境を好むトンボのヤゴや、エビ類などがたくさんいます。
東江小学校の野外学習や、博物館の観察会などでもよく使われている場所です。


これは今年の3月に撮った写真。
この場所、定期的に地域の方が草刈りをしているのですが、最近は、生物の隠れ場所となる水際の草を残してくれるようになりました。
自然観察場所としてよく使われていることが認知されてきたためかもしれません。
実は、これは素晴らしい取り組みで、ちょっとしたことですが、これをやるだけで水際の生物は生活空間を失わずにすみます。

草を残すのは手間がかかることではないですが、そこに生物がすんでいるということに対する「配慮」が感じられて、とてもうれしくなりました。今後も、このように自然に配慮した川の管理が続けられていくといいですね。

後半に続きます!

(NM)