ここ数日、博物館に持ちこまれる鳥が多いです。
残念ながら、事故などが原因で死んでしまっているのですが・・・
リュウキュウオオコノハズク Otus lempiji pryeri
昨日の朝、東江在住のHさんが博物館に届けてくれました。
博物館の近く、名護岳のふもとで死んでいたとのこと。
目立った外傷はないように見えますが、頭のてっぺんが裂けて骨が見えていたので、どこかにぶつかった衝撃で死んでしまったのかもしれません。
外傷などをチェックしていて、ふと、あることを思い出しました。
フクロウのなかまは、音を立体的にとらえるために、左右の耳の穴が上下にずれているという話です。
(興味のある方は、インターネットで「フクロウ 耳 左右」などの言葉で検索すると、情報が出てきます)
羽毛をかきわけて、左右の耳を比較してみました。
目で見てわかるほど、左右の耳の位置に差はないようです。
それにしても、大きな耳の穴です。
獲物の出すわずかな音でも聞き分けられるのでしょうね。
ちなみに、頭の上についている耳のように見える羽は、羽角(うかく)と呼ばれています。
フクロウのなかで羽角を持つものを、一般的にはミミズクと呼んでいるようですね。
博物館の収蔵標本の中に、リュウキュウオオコノハズクの骨格標本があったので、耳の穴がどうなっているか見てみました。
Skull of a Ryukyu Collared Scops Owl (Otus lempiji pryeri)
横から。
骨で見ても、左右対称に見えます。
一部の種(キンメフクロウなど)は、頭骨を見ると形が明らかに左右非対称だったりするのですが、リュウキュウオオコノハズクでは、そのような明確な違いはないようです。
文献なども調べてみてわかりましたが、フクロウの仲間でも、左右非対称の耳を持つもの、持たないものがいるのですね。*1
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さて、以前も紹介しましたが、博物館に持ちこまれた鳥の死体は、はく製や骨格などの標本にした後、将来的に展示や教育活動などで活用されます。
道ばたで、鳥の死体などを見つけたら、ぜひお知らせください。
一昨日は、名護中央公民館から鳥の死体が落ちていたという連絡がありました。
取りに行ったところ、メジロでした。
外傷はなく、きれいです。
計測して、中の肉や内臓を取り(メジロは小さいですねぇ)・・・
仮はく製にしました。
これで腐ることなく、標本として残すことができます。
(NM)
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● 博物館資料収集・登録のおはなし PART 1. 自然史―はく製・骨格標本
*1:Cristián Gutiérrez-Ibáñez, Andrew N. Iwaniuk and Douglas R. Wylie (2011) Relative Size of Auditory Pathways in Symmetrically and Asymmetrically Eared Owls. Brain Behav Evol, 78:286–301.