日々のなごはく。

名護博物館ブログ

寒さがもたらすユイムン?

ここ数日は、沖縄でも記録的な寒さで、本島では観測史上初の雪が確認されましたね。
報道によると、1977年の久米島の記録以来39年ぶりとのことで、県民にとっては大きなニュースです。

さて、そんなニュースに混じって、海岸では魚介類が寒さで仮死状態になり、次々打ち上がったという話がちらほら聞こえてきます。
今回の記録的な寒さで、石垣島宮古島の海岸で仮死状態の魚が見つかっており、食べるために拾い集める人たちの姿もあったとニュースで報じられていました。

そんなもの拾って食べて大丈夫?と思う方もいるかもしれませんが、寒さで仮死状態になっているだけですので、魚に何か異常があるわけではありません。沖縄の人は、海が冷え込んだときに、寒さに弱い新鮮な魚介類が打ちあがることを経験的に知っており、昔から食用にしてきたそうです。くらしの知恵ですね。

どうしてこんな話をするのかというと、昨日の朝、博物館友の会のKさんが、名護市内の真喜屋海岸で同じようにして拾ったコブシメや魚を持ってきてくれたからです。


コブシメ(沖縄名クブシメ)その他

ハナフエフキ

見ての通り、新鮮でお店に並んでいてもおかしくなさそうです。
料理好きのHT学芸員により、コブシメはすぐさま調理に回され・・・


イカ汁が出来上がりました。
おいしかったです。
この後、イカスミ汁も作られましたが、真っ黒なので写真はカット(笑)


料理の後に残った貝殻(コブシメの甲)

さすが、コウイカのなかま。
立派な貝殻(甲)を持っていて、イカが貝の仲間なんだなぁ・・・と納得させてくれます。
コウイカの仲間は何種かいますが、この貝殻を使って種を見分けることができます。
食べる前は、色や模様がうすくなっていたこともあり、これはコブシメ・・・?と思ったのですが、貝殻を見てはっきりしました。

ところで、沖縄では、ユイムン(寄りもの)という言葉があり、海の彼方から寄せてくる恵みの数々を指します。
寒さで打ちあがった魚介類は、ほとんどがサンゴ礁に囲まれた浅い海の生きもので、外洋からやってくるわけではないと思いますが、これもユイムンの一つと言えるかもしれませんね。

ここ数日の寒さがもたらしてくれた、そんな海の幸を楽しんだ方、実はけっこういるのではないでしょうか。

※ 拾って食べることについては、もちろん自己責任です。食べても大丈夫か判断できない場合はやめましょう!
(NM)