日々のなごはく。

名護博物館ブログ

冬に活動的なヒメハブ

去った8日(日)に、名護市内の民家(大東、田井等)から2件のヘビ目撃情報が当館に寄せられました。
連絡を受けて現場へ足を運ぶと、どちらも全長約50〜60cmのヒメハブ Ovophis okinavensis でした。
民家の敷地内に迷いこんだようです。


大東で確認されたヒメハブ(2017年1月8日)

田井等で確認されたヒメハブ(2017年1月8日)

一日に2件立て続けにこのようなことが起こるとは・・・なかなかめずらしいです。
今年はヘビ年ではなかったハズ・・・?

それはさておき、

ヒメハブは水辺を好むヘビです。今回発見された民家はいずれも名護岳の麓のそばで、近くに川に連絡する水路があります。
おそらく、数日前に降った雨で上流から流されてきたのではないかと思います。
ところで、世界的な目で見ると、ヒメハブ奄美群島沖縄諸島にしか生息していない固有種で、地域を特徴づける大事な生きものです。

過去の記事でも紹介したことがありますが(こちら)、ヒメハブは冬でも活動的で、やんばるの渓流では、この時期に繁殖するカエル目当てに集まっている光景をよく見かけます。

ところが、名護市内においてそのような光景が見られるかというと・・・なかなかムズカシイです。
他のヘビ類にも言えますが、市内においてヒメハブの生息数は決して多くはありません。
国頭村の渓流ではよく見かけるヒメハブですが、名護市の渓流ではほとんど見たことがありません。

そんなわけで、民家の方は毒ヘビの出現で心配されたでしょうが、私は不謹慎ながらちょっぴりうれしかったです。
ヘビのように生態系の上位にいる生きものは、地域の自然度を測るバロメーターです。
名護市もヘビ類がたくさんいるような自然豊かな環境であってほしいですね。

なお、ヒメハブは沖縄名「ニーブヤァー」からもわかるように、動きがわりとニブイです。毒もハブに比べるとかなり弱く、むこうから積極的に攻撃してくるようなことはまずないと思います。
もし、家の近くで見つけたら、あわてずに落ち着いて様子をみましょう。
三角形の頭にツチノコを連想するずんぐりした体形が特徴的です。

最近は、名護市内で毒の強い外来種のタイワンハブが急増しており、こちらの方が問題となっています。
もし市内でヘビ類を見つけて種類がわからず、対処に困るようでしたら、当館でもよいのですが、まずはタイワンハブの駆除事業などを行っている名護市の担当部署(名護市企画部環境対策課)にご連絡ください。

(NM)