先日、屋我地島でリュウキュウアオヘビ Cyclophiops semicarinatus が見つかったという情報が当館に寄せられました。
まだかわいらしい幼蛇です。
リュウキュウアオヘビは沖縄では青大将と呼ばれることもありますが、 本土にいるアオダイショウとは別種のヘビです。毒はありません。
名護市内では、なかなかヘビに出会わないという話をこのブログでも何度かしました(こちらなど)。アカマタ、アマミタカチホヘビ、ヒメハブなどは、やんばる北部の3村(国頭村・大宜味村・東村)に比べれがはるかに数が少ないですが、まだ比較的姿を見かける方です。しかし、リュウキュウアオヘビについては、私は過去10年間で市内で見たことが一度もありません。
少なくとも、私がよく足を運ぶ渓流や林道などにはほとんどいないと思われます。数年前に1回だけ、我部祖河で見つかったロードキルの個体をもらって標本にしたことがあります。
おそらく、かつては名護市内で普通に見られたこのヘビも、現在ではめずらしくなってきているのではないでしょうか。
名護市内における文献記録も1997年以降はないようです*1
名護より北のやんばるへ行けば、わりと普通に出会うことのできるヘビですが・・・
名護市内で在来のヘビを見かけることが少ない一方で、特定外来生物タイワンハブの目撃情報は増え続けています。また先週、同じく特定外来生物のタイワンスジオが市内で見つかったという情報が入ってきました。生態系が歪に変化しているように感じます。
今回、リュウキュウアオヘビが見つかった屋我地島では、今でもわりとたくさんの在来種のトカゲ・ヘビ類を見かけるような気がします。島には外来種のフイリマングースがまだほとんど入っていないことが大きな要因として考えられます。
今回見つかった個体は幼蛇であることから、繁殖もしっかり行われているようです。
・・・ただし、数年前から屋我地島でもマングースの姿が確認されているようなので、いつまでも健全な環境が続くとは限りません・・・
ヘビのような生態系の上位にいる生きものは、地域の自然の豊かさを測る物差しにもなります。
リュウキュウアオヘビがくらせるような健全な生態系を、ぜひ未来に残していきたいところです。
(NM)