日々のなごはく。

名護博物館ブログ

カエルを探しに再び夜の渓流へ!

前回の記事(こちら)の続きです。
今回は、前回と違う市内渓流に足を運んでみました。
題名にカエルとありますが、写真をとる前に逃げられてしまいましたので(泣)、その他に見られたものを紹介したいと思います。

まだ明るいうちに沢に入りました。
名護市内は山の尾根に沿ってくまなく林道が走っているので、川の源流まで登ると林道に出ることが多いのですが、この沢は最上流まで行っても林道がありません。
その分、自然も残っているのでは!と期待が高まります。


川岸には、前回も紹介したアマミイナモリがたくさん咲いていました。
背丈が10cmほどのかわいらしい花です。


この場所は、アマミイナモリばかり咲いていて、いつも見慣れているサツマイナモリが全く咲いていなかったのが印象的でした。
しかし、この写真を見返してみると、なぜジャマな落ち葉をとるという発想に至れなかったのか・・・
まだまだ未熟ですね。


最近「ドングリを食べてみよう!」講座(記事はこちら)を行ったばかりですが、
川の中には、大きなオキナワウラジロガシのドングリがたくさん落ちていました。


沢沿いにそびえ立つオキナワウラジロガシ。
根元近くからは、落ちたドングリから生えてきた幼木もありました。



その葉(上が表、下が裏)。

オキナワウラジロガシの葉の裏は白っぽくて、川のあちこちにたくさん落ちているのが目立ちました。
暗くてよくわからなかったですが、沢沿いにたくさん生えているようです。

オキナワウラジロガシは、一度切るとその切り株から芽が出てくること(萌芽更新)があまりないそうです。
やんばるの山は琉球王府時代からあちこちで林業が行われていますが、大きなウラジロガシが生えているということは、近い過去に伐採がされていない自然度の高い森ということになります。


沢の一か所にたくさん集まっているシリケンイモリ発見。
5mほどの幅に、50匹以上見られました。


産卵のために集まっているんだと思いますが、周りを探しても卵は見つけられず。
これから産むのかな・・・?
約1kmほど沢を観察しましたが、集まっているのはここだけでした。


かなり上流で、甲幅が約8cmの大きなモクズガニに出会いました。
たぶん、私が市内で過去に見たモクズガニの中で二番目に大きいです(ちなみに一番目はこちらで紹介)。
私の名護市の川歴は10年足らずですが、近年このような大物は減っているという声をよく耳にします。

モクズガニは冬に産卵のために川を下って河口近くへ移動し、そこで一生を終えるとされています。
このカニは、機が熟すのを待っているのでしょうか。


水中をスイスイ〜と泳ぐヌマエビ Paratya compressa がいたので、捕まえてみました。
エビやカニは夜行性なので、夜の川に足を運ぶと活発に動き回っているところを見ることができます。

この小さなエビは、名前は「沼エビ」ですが、沖縄では池や沼のような止水環境には住んでいません。
渓流の滝つぼなどの淵(ふち)でよく見かけます。

私は、昼間の水中観察でこのエビをよく目にしていますが、この場所のヌマエビは体に入っている模様の青みが強く、最初はヌマエビなのか・・・?と首を傾げてしまいました。

しかし、持ち帰って形態を調べてみると、確かにヌマエビでした。


持ち帰って撮影したヌマエビからは、川で見たような青みは大分消えていました。


しばらくすると、青かった部分は赤くなり、いつも見慣れているヌマエビになりました。
ちなみに、この個体はおなかにふ化間近の卵をかかえたメスです。

川で採集した魚やエビを持ち帰って水槽に入れると、白っぽくなったり黒ずんだりすることはよくありますが、このような色の変化もあるんだなぁ・・・というのが、個人的な新しい発見でした。
理由はわかりませんが!

さて、肝心のカエルは、リュウキュウアカガエルを一匹見ただけで、しかも最初に書いたように撮影前に逃げられてしまいました・・・
今回は、沢の最上流までは行けなかったので、また再チャレンジしたいところです。

(NM)