題名を見てなんのこっちゃと思った方もいるかもしれません。
先週の6月25日、東江(あがりえ)小学校の子が、名護博物館に透明な魚を持ってきてくれました。
近くを流れている川、ヤマガー(東江川)の河口近くでつかまえたそうです。
レプトケファルス(leptocephalus)とは、葉っぱのような形をした魚類の幼生のことで、ラテン語で小さい頭の意味があるそうです。
このような幼生期を持つ魚としてはウナギやアナゴが有名で、マアナゴのレプトケファルスは「のれそれ」と呼ばれ食用にもされていますね。
透明なので、上の写真はなかなかうまく撮影できませんでしたが・・・
真ん中の丸い泡のように見えているのは、鰾(うきぶくろ)です。
ちなみに、これが成長したイセゴイの姿です。
子どもの頃とは似ても似つかない姿ですが、生物の世界ではよくある話です。
人類が初めてこの形の幼生を見つけたときに、未知の魚だと勘違いしてレプトケファルスと名付け新種発表したというエピソードがあるのですが、その名残で現在もこのような形をした幼生はレプトケファルスと呼ばれて区別されています。
レプトケファルス幼生を経て変態し、稚魚(成魚とほぼ同じ体型)になる魚類はカライワシ上目というグループでまとめられ、ウナギ目やカライワシ目などが含まれています。硬骨魚類の中では、わりと原始的なグループです。
イセゴイはカライワシ目で、名前の通り一見イワシに近い姿をしていますが、分類学的にはウナギに近いと考えられているわけですね。
ちなみに「変態」というと、幼虫から成虫へ劇的に姿を変える昆虫などで使われるイメージが一般的にある気がするのですが、魚類でも体の仕組みを大幅に作りかえる発育のステージで変態という用語が使われます。
今回見つかったレプトケファルスは、変態が始まる直前か、始まったばかりのステージと思われます。
ところで、上で「成長した」と紹介した写真のイセゴイは、博物館近くの幸地川河口域で採集したものです。
全長20 cm弱ですが、イセゴイは最大で1 mを越える大きさになるとされています。
・・・とは言っても、川でそのような巨大なイセゴイが見られるわけではありません。
イセゴイは海水魚ですが、子どもの頃は川の汽水域でよく見られるのです。
川で見られるのは20 cm以下のものが多い気がします。
時には、淡水域まで入ってくることもあります。
私は以前、淡水で20 cmほどのイセゴイを飼育していたことがありますが、半年ほどは問題なく飼育できました。
西屋部川の淡水域で見られたイセゴイ(2016年8月21日撮影)
さて、このイセゴイという魚、沖縄では一般的にあまりなじみがないような気もするのですが・・・
「ミズヌズ」という沖縄名がちゃんとあるようです。
食べても小骨が多くおいしくない魚とされていますが、沖縄名があるということは、くらしの中で何かしら人との関わりがあった魚ということでしょう。そのあたりもいつか調べてみたいものです。
(NM)