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名護博物館ブログ

琉球の植物展 〜身近な植物とくらし〜 見どころなど

国立科学博物館・巡回ミュージアム in 沖縄」のひとつとして「琉球の植物展 〜身近な植物とくらし〜」が当館で始まりました。



展示会場の様子
この巡回ミュージアムは、沖縄本島内6ヶ所で開催され、当館は3番手となっております。
国立科学博物館で過去に開催された企画展「琉球の植物」のパネル展示がメインになっていますが、各館の展示は全く同じではありません。

それぞれの特色を活かしたオリジナルの展示が追加されています。
なお、生植物の多くや大型写真パネルは、一般財団法人 沖縄美ら島財団総合研究センターの協力を頂いて展示しております。
当館における展示を少し紹介したいと思います。


海岸から海岸林の植物の展示


海岸に漂着する種子やモクビャッコウ(木白香:右)

グンバイヒルガオが台風の由来であるとする民話の紹介も行っています。
ぜひ、探してみてください。



イゼナガヤ(伊是名萱)

一見、ただの雑草に見えますが、沖縄本島では名護市の一ヶ所のみで見つかっている大変貴重な植物です。
しかも、それは東海岸辺野古米軍基地、キャンプ・シュワブ内の岬の岩上で一般人は立ち入れないところです。
なぜ、その場所のみに分布しているのか、大変興味深いです。
沖縄県レッドリスト絶滅危惧IA類(最も絶滅が心配されているランク)に指定されています。


ダイサギソウ(大鷺草)

低地の日当たりのよい草地などに生えます。
今ちょうど花が咲いているので見ごろです。
サギソウの由来は、花が鳥のサギが飛んでいるところに似ていることからだそうです。


サイヨウシャジン(細葉沙参)

低地〜山地の日当たりのよい草地に生えます。
こちらも可憐な花を咲かせています。
名護市では2ヶ所が産地として有名ですが、植物は産地を明かすと根こそぎ採っていく心無い人がいるので、残念ながら公開はできません。


カシノキラン(樫木蘭)

山地林内の樹の幹につきます。
昔はわりと普通に見られたようですが、最近はめっきり減っているようです。


標本コーナーの展示は、いずれも沖縄美ら島財団総合研究センターより借用したものです。


オリヅルスミレ(折鶴菫)の標本

1982年に国頭村の辺野喜川で発見され、新種として発表された本種。
しかし、ダム開発により自生地はダム底に沈み、野生では絶滅したと考えられています。
名護の渓流のどこかに残っていないものか・・・そんな想いが頭をよぎります。


展示の最後には、植物と人のくらしに関する展示があります。
植物から作られた民具は、当館収蔵資料のほか、関係者からお借りしています。


クロツグ(マーニ)で作られたソリやコシダで作られたカゴなど

コシダは、日当たりのよい林道の斜面などで茂っているのをよく見かけますが、カゴを作るためには、展示のようにつるがかなり長いものでなければなりません。


クロツグ(マーニ)の葉で作られた川エビ
今にも動き出しそうです。

クロツグの葉を使ったおもちゃ作りは、11月11日(土)の午後1時〜5時に行う予定です。
ぜひ足をお運びください。


イトバショウ(糸芭蕉)とその繊維、芭蕉布の着物など


海岸によく生えているモンパノキで作られたミーカガン(水中眼鏡)

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さて、展示会は始まったばかりです(いきなり台風で臨時休館するはめになりましたが・・・)。
展示会名は「身近な植物」となっていますが、どちらかと言えば、ありふれた植物より「身近にある希少植物」に多くのスポットが当たっています。
普段なかなか目にしない、あるいはあってもその存在を知らない植物に目を向けるきっかけになれば幸いです。

生植物の中には、開催期間中に開花しそうなものもありますので、随時お知らせしていきたいと思います。

また、期間中は草木を使った玩具づくりなどのワークショップ、国立科学博物館の研究者の方の貴重な講演会も開催します。
詳細はこちらをご覧ください。

多くの方のご来場をお待ちしています!

(NM)