名護市内には40以上の水系があり、支流なども含めると80以上の川があります。
さらに支流の支流・・・となると何本あるのか見当もつきません。
私もいつかはすべての川へ足を運びたいと思っていますが、まだまだ足を踏み入れたことのない川もたくさんあります。
先月、これまで行ったことのない渓流へ足を運んでみたところ、自分なりに新しい発見がありました。
コツノテナガエビ
今回行った川は名護市の東海岸の川。
本流はしょっちゅう足を運んでいますが、この支流には入ったことがありませんでした。
今回の一番の収穫は、上のコツノテナガエビの写真が撮れたことでしょうか。
川の上流に生息するテナガエビで、市内の川でよく見かけるコンジンテナガエビに少しにています。
ハサミの立派な大きなオスもいたのですが、撮影前に逃げられましたチクショウ!
市内の川でもこれまで本種と思われるテナガエビを見かけたことはありましたが、一瞬姿が見えただけだったり、すぐ逃げられたりと撮影までには至っておらず、本種かどうか確信が持てませんでした。
コツノテナガエビのメス
また、おなかに卵を持ったメスを採集することもできました。
この場所はコンジンテナガエビがとても多かったのですが、それに混じってコツノテナガエビもそれなりの個体数がいるようで、繁殖も行っているようです。
今回採集したものは、市内の生息記録の証拠標本としてしっかり保存したいと思います。
他には、上流の渓流でおなじみの顔ぶれにも出会いました。
この存在感のある大きめのヌマエビを見かけると、「あぁ〜源流近くにきたなぁ・・・」と感じます。
アカボウズハゼのオス
まわりを木々に囲まれた渓流の流れのゆるやかな場所でよく見かけます。
以前、このブログでも紹介しましたが(こちら)、アカボウズハゼの目撃例は近年増えてきています。
2005年に刊行された沖縄県のレッドデータブック第2版では、絶滅の心配のある最も上のランクの絶滅危惧IA類に指定されていましたが、今年(2017年)改定された第3版のレッドデータブックでは見直されて、2ランク下がって絶滅危惧II類となりました。
アカボウズハゼの生息には、水量が豊富で自然度の高い渓流が必要です。
このハゼの数が最近増えたのは、川の自然環境が一昔前より良くなったから・・・
・・・と思いたいところですが、そう簡単な話でもないようです。
近年、アカボウズハゼも含めて様々な南方系の種の分布が北上しており、これまで沖縄島でほとんど見かけなかった、あるいは生息していなかった淡水魚やエビ・カニを見かけることが多くなりました。
このような生物の分布北上については、地球温暖化との関連性が指摘されていますが、詳しい因果関係はわかっていません。
そしてこのような関係性を調べるためには、とにもかくにも、まずは基礎情報となる生物の分布情報を地域ごとに蓄積していく必要があるのですが、残念ながら十分ではないのが現状だと思います。
今後も市内の川に通って、情報を収集していきたいと思います。
(NM)