最近、博物館によく遊びに来るOさん。
自宅の庭に迷い込んだカメを博物館に持ってきてくれました。
ミナミイシガメは、中国、台湾などに分布する基亜種ミナミイシガメ M. m. mutica と八重山諸島に分布するヤエヤマイシガメ M. m. kami の2亜種が知られています。
沖縄ではカメのことを「カーミー」と呼んだりしますが、ヤエヤマイシガメの学名には "kami" がそのまま使われています。
さて、このカメ、もともと沖縄島にはどちらの亜種も生息していません。ペットなどとして人為的に持ち込まれ、野外で増えているのです。また、ミナミイシガメとクサガメの雑種と思われる個体も沖縄島から見つかっています*1。
他にも、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)やスッポンなど、沖縄にいないはずのカメが野外でよく見つかります。
博物館の亀小屋にはあまりスペースの余裕もないので、このカメはネオパークオキナワに引き取ってもらいました。
ペットショップなどで売っている生き物は、ほとんどがその地域にいない種です。
生きものを飼育することは、命を大切にする心や観察力などを養うことのできる、とても良いことだと思います。
でも、このような生きものを飼育するときには、死ぬまで世話をするという覚悟も必要です。
飼えなくなって野外に放したら、身近にある生態系に影響を与えて大切な自然を壊してしまうこともあり得るのです。
(NM)