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名護博物館ブログ

名護の川の季節 その4 リュウキュウアユの産卵シーズン到来!

今年もリュウキュウアユの産卵シーズンがやってきたので、名護市内の川に足を運んでみました。
秋から冬にかけて、リュウキュウアユは下流の瀬に集まって産卵します。
産卵に適した水温は20℃以下だそうです。

産卵がはじまる夕方、水温を測ってみると、19.9℃。
観察する身としては寒くなくていいのですが、アユたちにとってはいかがなものか・・・

そんなことを考えながら、川辺に座って上から観察していると・・・
集まったアユたちが、パシャパシャと水音を立て始めました。

水の中に頭をつけて横から静かにのぞいてみると・・・


産卵がはじまっていました!


オスのおなかは、鮮やかな赤色になっています。


小さいですが、動画でも紹介します。
01:14頃と01:26頃に産卵しています。
オスの放った精子で水が白くにごるのがわかると思います。


川底の石に産みつけられた卵。直径はわずか1mmほど!
目をこらさないと見つけられません。


産んだとたんに、周りにいるシマヨシノボリやナガノゴリが卵を食べ始めます。

本来、リュウキュウアユは、数百〜数千単位で集まって産卵するので、かなりの卵が食べられても大丈夫なのでしょうが、この場所で群れていたのは、わずか10尾ほど。
石のウラなどに付着して表面から見えない卵は食べられにくいとは思いますが、無事にふ化できる子どもは、どれほどいるのでしょうか・・・

ふ化できたとしても、海へ出て無事帰ってこれる子どもは、ほとんどいないかもしれません。
来年の春、一尾でも多く川を上ってきてくれることを祈ります!

リュウキュウアユは、沖縄県内水面漁業管理委員会指示によって、捕まえることが禁止されています。リュウキュウアユを見かけたら、そっと見守ってください!

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【おまけ】 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その他に見られた生きものを紹介!

アユの産卵が始まる前に、少し下流の川の中をのぞいてみました。


川岸に生えている草の陰。
魚がかくれているのがわかるでしょうか。


テングヨウジです。
草の動きに合わせてユラユラ。
完全に背景と同化していました。

そして、アユの産卵を観察していたら、辺りはすっかり暗くなり・・・


ふと上を見上げると、川岸にある木の枝にとまっていたリュウキュウオオコノハズクが、「何してるんだコイツ・・・」的な顔で見ていました。

夜の川の中では、昼間とはまた違った風景を見ることができます。


ユゴイが川底でじっとしたまま休んでいました。
昼間は水中をせわしなく泳ぎ回るので、このようにじっくり見られる機会は多くありません。


リュウキュウアユも休んでいました。
産卵場所よりやや上流の場所ですが、何尾か見かけました。
産卵には加わらないのでしょうか。

休んでいる魚とは対照的に、夜活発に動き回るオオウナギや、テナガエビ類、モクズガニなどもたくさんいました。


これは、夜川底を歩いていた大きなモクズガニです。


甲幅が8.53cmありました。
近年、昔に比べてモクズガニが小型化している、数が減っている・・・という話を各地で良く聞きます。
市内の川では、このクラスの大物にはめったに会えません。


最後に、残念な話。
水中の物陰で大きな外来種のカメ(ミシシッピアカミミガメ?)に出会いました。
誰かがすてた元ペットでしょう。

沖縄本島には、このように水中でくらす在来種のカメはいません。
地域の宝である自然を壊さないためにも、ペットは責任をもって最後まで飼う必要があります。

(NM)