名護博物館の敷地には、県の天然記念物「名護番所跡のフクギ群」があります。
樹齢300年だそうです。
この時期、フクギの花が地面にたくさん落ちており、毎朝の掃除に一手間かけさせてくれます。
そして花に混じって、泥のかたまりのようなものもたくさん落ちています。
掃除しても、次の日の朝にはまた落ちています。
毎晩、何者かが落としているのです。
落とした犯人は・・・
↓ こちら ↓
オリイオオコウモリ Pteropus dasymallus inopinatus でした。
この辺りに住んでいれば、このコウモリを見たことない人の方が少ないのではないでしょうか。
しかし、夜行性のためか、身近なようで身近でない生きもののような気もします。
オリイオオコウモリは、クビワオオコウモリの亜種です。
クビワオオコウモリは日本に4亜種生息していますが、すべて琉球列島(トカラ列島以南)に分布しています。
このうち、オリイオオコウモリは沖縄島を中心に、その周辺諸島にしか分布していない固有亜種なのです。
少なくとも、本土から沖縄に来て、初めてオオコウモリを見た人は、びっくりするはずです。翼を広げると50cmにもなるコウモリを本土で見る機会はまずありません。それが、市街地を飛び回っているのですから。
さて、オリイオオコウモリと言えば、名護博物館では、以前飼育していた「コモちゃん」を思い出します(紹介記事はこちら)。
コモちゃんは、ビワなどの果実が大好きでした。
話は元に戻るのですが、オリイオオコウモリは木の実や花などが大好物です。
それで、毎晩のようにフクギに飛んできては、花や実を食べていくのです。
昨日は、同じ木に、4匹ぐらい止まって、花を頬張っていました。
そして、いらない部分はペリットとして吐き出すのです。
↓ その決定的瞬間 ↓
フクギは、花を食べられて踏んだり蹴ったりのように思えます。
しかし、最近の研究では、オオコウモリは植物の花粉や種子を運ぶ重要な役割を担っていると考えられています。
また、不思議なことに、何種かの植物の種子では、オオコウモリに食べられると発芽率が上がることが報告されているようです。
決して、一方的に食い荒らしているわけではないのですね。
このように、自然の生態系は複雑であり、一見しただけでは、その関係性がわからないのが難しいところです。
関係ない話ですが、たくさん落ちているペリットにハエが集まってきています。
最近ハエが増えていて困りものです。
一部のハエは博物館で飼育中の魚やトカゲのごちそうになります。
これもまた、生態系・・・ですかね(笑)。
(NM)