新博物館づくりに関連して、名護・やんばるのくらしや自然に関する様々な動画を撮影しています。
前回の記事(こちら)ではシイラ漁を紹介しましたが、今回は沖縄でおなじみの大衆魚、ミジュン(標準和名ミズン)を探しに出かけました!
ミジュン(ミズン)とは?
上の写真のとおり、ミジュンは10cmほどのイワシの仲間です。
国内では鹿児島県以南の沿岸に分布しています。
沖縄では浅瀬に大群が寄ってくることもあり、打網(投網)や釣りなどでミジュンを取る人の姿もよく目にします。
ミジュンは群れに当たると大量に取れ、下準備に手間はかかりますが、刺身や唐揚げなどで食べるとおいしい魚です。
なお、ミジュンは川の河口域にもよく入ってきますので、過去に私が担当した川の観察会や生きもの調査でも取れたことがあります。
もっとも、群れではなく数匹取れただけでしたので、食べはしませんでしたが(笑)
同じように浅瀬や河口域で群れている魚にハダラー(標準和名ヤクシマイワシ)がいます。
この魚は名前にもあるとおり、一見イワシのなかま(ニシン目)のようにも見えますが、全く違うグループ(トウゴロウイワシ目)の魚で、どちらかと言えばダツやサヨリ、メダカなど(ダツ目)に近いです。
イワシ(鰯)のなかまであるミジュンのウロコはすぐに取れてしまいますが、ハダラーのウロコはしっかりしています。
また、冒頭の写真と見比べるとわかりますが、ハダラー(ヤクシマイワシ)は背鰭(せびれ)が2基あります。イワシのなかま(ニシン目)は1基ですので、ここが決定的に違います。
食べたことはないですが、ハダラーもから揚げにするとおいしいとのこと。
ミジュン取りの撮影に挑むも・・・?
11月後半、博物館まわりの関係者から、恩納村や名護市の西海岸でミジュンの群れが浅瀬に入ってきているという情報が入りました。
諸々の事情により、動画撮影隊の予定を押さえているのは12月頭の3日間のみ。
本撮影に入る前に、下見で群れの目撃情報があった名護市内の海岸へ足を運んでみました。
砂浜を歩いて、ミジュンの群れを探しますが・・・
残念ながら群れの姿は見えません!
ミジュンの大群がいる場合、海の中を黒い影が移動しているように見えます。
試しに投網も打ってみましたが・・・
目的のミジュンは取れず!
この日はいくつかの場所を回ってみましたが、同じようにミジュン狙いの人の姿は見かけるものの、やはり取れてはいないようでした。
・・・そして、迎えた本撮影!
下見のときの不漁がウソのように大漁・・・!!
・・・となればよかったのですが、そうはうまくいきませんよねぇ・・・
結局、ミジュンの群れが取れているシーンを撮影することはできませんでした。
ミジュンは沖縄では身近な魚の一つで、とくにめずらしいものではありません。
私も、フィールドで見かけたときは「なんだ、ミジュンか」といった感じで流しているのですが、いざ撮影のために探すとなると・・・なかなかタイミングが難しいですね。
それが自然を相手にするときの大変さであり、同時に魅力でもあるのですが!
撮影のチャンスはあと1~2回あるので、その時に出来れば再チャレンジしたいですが、果たしてどうなるか・・・!?
おまけ
ミジュンを探す中で出会った、ほかの魚たちを軽く紹介!
マルコバンの幼魚が砂浜の波打ち際で数匹取れました。アジの仲間です。
食べられますし、むしろミジュンよりめずらしいですが・・・
食べるサイズでもないし、標本にしようか迷いつつ最終的にはリリース。
砂の上にいる魚がわかりますか?
川の河口域で取れた、カレイのなかまのミナミウシノシタ(幼魚)。
この種は、外敵から身を守るため、鰭(ひれ)の付け根にある毒腺から毒を出すことが知られています。
バケツにミナミウシノシタと別の魚を一緒に入れておいたところ、毒で死んでしまった・・・という話を耳にすることもあります。
拡大した写真では鰭(ひれ)の付け根に黒い点があるのが見えますが、ここから毒のある粘液が出てくるとのこと。
見たことありませんが、どんなふうに出てくるのか興味が・・・フツフツと湧いてくるのですが・・・
・・・もはやミジュンとは何の関係もない話ですので、やめておきましょう。
以上、オマケでした。
(NM)